ひとりひとりが誇りを持つ、ということ
はてなブックマークで人気エントリーに挙げられていた「プログラマーを人気の職業にしたい」を読んで、かつて某ABAPというマイナー言語を触っていた者として、個人的に感じたことを少し。
■ 全力でプログラマーを「人気の職業」に押し上げたい (Attribute=51)
この中で guri_2 さんが提示した命題、まったくその通りだと思います:
WEBサイトの構築に限らず、ITシステムを開発・運用する仕事というのは、現代社会にとって欠かせない存在です。その仕事が敬遠されてしまう状況というのは、なんとしても解決せねばならない問題でしょう。「すべてインドにアウトソースしてしまえばOK」というのなら別ですが、そんな状況もここ数年では実現しないと思うので。
「役に立っている、ありがたいと感謝されるようになれば、自然と人気はでそうだ」->「もっと姿が見れるようにすべき」という guri_2 さんの意見はもっともだと思います。子供に人気の職業ランキングを見ても、「スポーツ選手」「パン・ケーキ・菓子屋」などは、まさに「活躍している姿が素敵!」という職業ですよね。プログラマやSEだって、その仕事の意味がちゃんと理解されれば事態は変わるはず……確かにその通りでしょう。
しかしスポーツ選手や警察官・消防士的に「働いている姿を見せる」ことは、プログラマには難しい相談です(むしろスポーツ選手などのようが、「姿が見れる」という点では特殊な存在でしょう)。見ただけでは何をしているか分からないことも多いですし、また guri_2 さんも書かれているように、「セキュリティリスク、ビジネスリスク、企業コンプライアンスうんぬんの話もあって難しいところ」という問題があります。スタッフロールというアイデアも面白いですが、映画でエンドロールを最後までみる人はそんなに多くないわけですし、さらに企業システムを構築している人々にとっては非現実的な話でしょう。
「じゃあどうすればいいと思う?」という質問に対する僕の答えは、「IT業界に携わるひとりひとりが、自分の仕事に誇りを持つ」ということだと思います。理想論であることは分かっています。しかし、なぜかうちのお父さんは会社に行くのが楽しそうだ、なぜかお隣の旦那さんは充実した表情をしている、仕事の話を嬉しそうにしてくれる。そんな人々に「お仕事は何ですか?」と聞くと、「(力強く)IT系です!」という答えが返ってくる――そんな体験をする人が一人でも多くなれば、IT業界の地位も上がっていくのではないでしょうか(長い時間はかかるけど)。
手っ取り早く、TVドラマ(ex. 中山美穂が女性SEを演じる)やドキュメンタリー(ex. 『プロジェクトX』で大規模開発例を取り上げてもらう)などを作ってもらうといった手法もあるでしょう。しかしそういった絵空事よりも、身近にいる人々が活き活きとした姿を見せた方が、より強い印象として残っていくのではないでしょうか。逆にメディアで描かれる姿がいくら魅力的でも、身近に「仕事がイヤだイヤだといつも言っているお父さん」がいては、IT業界を目指そうという子供は減っていくはずです。
その意味で、
プログラマーにコミュニケーション能力なんて、実は無くても大丈夫なんじゃないかなーって。
という部分には反対です。むしろ優れたコミュニケーション能力を持つプログラマが大勢登場して、どんどん自分の仕事の魅力について語って欲しい。またそんなプログラマを育てたり、彼らが思わず語ってしまうような「魅力的な仕事」を用意するよう、企業は精一杯努力して欲しい。そんな願いを抱いています。