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『会話の時代』

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昨日、1冊の本が出版されました。タイトルは"The Age of Conversation"(会話の時代)。タイトルから連想されるように、次世代のマーケティングをテーマとした本で、ハードカバー版、ペーパーバック版、電子ブック版の3種類が用意されています。ここまでは至って普通なのですが、この本の著者として名を連ねているのは、103名のマーケティングの専門家たち。しかも彼らのほとんどは、実際に顔を合わせたこともない関係だったとのこと。実はこの本、ある人物の呼びかけにより、ネットを通じて集まった人々によって完成されたものなのです。

ageofconversation その呼びかけを行ったのが、Drew McLellan さんと Gavin Heaton さん。お二人とも出版関係ではなく、マーケティングのお仕事をされている方々(実は彼らも実際に会うことはなく、オンライン上のやりとりだけで"The Age of Conversation"を完成させたそうです)。ブログ等を通じて無償(売り上げはチャリティとして Variety Children's Charity に寄付される)の記事提供を呼びかけたところ、世界中から100名を超える参加者が集まり、3ヶ月間で完成に至ったとのこと。さらに興味のある方は、Ad Age にも記事が掲載されていますのでご確認下さい。

面白そうなので、僕も電子ブック版を買ってみました。Ad Age の記事では「オープンソース型書籍制作」と評されていたのですが、中身はマーケターのエッセイ集という感じ。1つ1つが独立した記事(もちろんテーマは「会話の時代」に沿っていますが)で、「共同で作り上げた」というニュアンスとはちょっと異なります。しかし個々の記事には"Don’t Give Me Songs. Give Me Something to Sing About"や"Have You Hugged a Blogger Today?”などなかなか面白そうなタイトルが並んでいて、これで$9.99(電子ブック版)はお買い得といった印象ですね。

考えてみれば、「本」というのはほとん情報で成り立っているものですから、こういった世界をまたにかけたコラボレーションというのが行いやすいのでしょうね。今回は各々が書き上げた記事の集約、といった感じでしたが、Wiki などを使えば1つの文章を共同で書くということも可能でしょう(実際にそうやって書き上げた本も存在しているようですし、いまだって Wikipedia をそのままプリントアウトすれば「辞典」になるわけです)。「世界中から集まった、顔も知らなければ合ったこともない人々と共同で本を書く」というのも、今後はごく一般的な行動になっていくのでしょうね。

ちなみに参加者がどんな国々から集まってきているかは、こちらのグーグルマップで確認することができます。残念ながら、日本からの参加者はなし。呼びかけ期間中に気づいていたら、チャレンジしてみたかった……。

Comment(3)

コメント

とても興味深い事例を教えていただき、ありがとうございます。
オープンソース型のモデルは、出版業界には必要だと思います。ケータイ小説の分野で、すでに似たような仕組みができてしまっているのですが、出版もいずれ追随することになると、私は思っています。
その際に、ひとつ問題となるのが、収益の分配です。今回の事例はボランティアでしたが、ビジネスとする場合に、オープンな制作体制で不公平感のない分配をするのが難しそうです。
とはいえ、実に刺激的なお話でした。「シロクマ日報」は出版関連の話題を多く取り上げてくださるので、本当に楽しみです。

アキヒト

ハフハールさん、コメントありがとうございます。
何となく自分の興味があることを書いているうちに、出版関連の話題が増えてしまいました。これからもご期待に沿えると良いのですが……。
ともかく、「オープンソース型書籍制作」というのは面白い取り組みですよね。仰る通り、利益配分がどうなるのか心配なところですが、個人的には何らかの方法が確立されるのでは?と楽観しています。執筆者一同が同じコミュニティに属しているのなら、そのコミュニティに利益を還元するというのも1つの手段ですよね。

Greetings from Boston, Massachusetts. Thank you for speaking about The Age of Conversation!

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