捨てるコンサルタント
永井さんの「片付けることとは、捨てること」というエントリを読んで、ちょっと前に読んだ記事を思い出しました。最近フランスで面白いサービスが話題になっている、という内容なのですが、なんでも「不必要なモノを処分する手助けをしてくれるアドバイザー」とのこと:
■ ホーム・オーガナイザー -- 生活空間、物捨て快適に (日経流通新聞 2006年10月4日 第24面)
文字通りホーム(家)をオーガナイズ(整理)してくれる人、ということで、機能的で快適な生活空間作りをアドバイスしてくれるそうです。新しい空間を作る前の作業として、クローゼットの中のものをすべて出し、不必要なものは人にあげる・地下室にしまう・捨てるなどの「処分」を行うよう依頼主に促してくれるのだとか。この職業を営むシリル・フレモンという方は「私の役割は、不必要な物を処分することによって、機能的で安らげる生活空間をクリエートするお手伝いをすること」と述べています。
確かに「捨てる」って、なかなか難しい作業です。「いつか使うかも」「誰かが使うかも」「記念にとっておきたい」・・・などなど、捨てずにいる理由はいくらでも見つかります。その結果、持ち物が必要以上に増えて、本当に必要なものが探しづらくなったりするんですよね。「物を捨てるだけで誰かを雇うなんて」と思われるかもしれませんが、必要かつ重要なサービスだと思います。
話は変わって、最近よく「情報洪水を防ぐには」という議論になります。以前ある専門家の方が「情報洪水には自ら不必要な情報を溜め込み、溺れていくという自業自得の側面がある」という趣旨のお話をされていました。「この情報も必要かも」「あれも調べなきゃ」「後で使うかもしれない」・・・などなど、根拠の無い理由から情報を溜める一方になってしまい、本当に必要な情報がうずもれてしまうというわけです。
そう考えると、情報にも「捨てるコンサルタント」が必要かもしれません。本当に必要な情報だけが流れるように組織・仕組みをオーガナイズし、快適な知識空間を実現する「ナレッジ・オーガナイザー」なんて職業が求められているのかもしれませんね(肩書きが無くても、既にそんな立場の人も多いのでしょうが)。また最近はRSSリーダーのように、情報を「溜め込む」方のツールに焦点が当てられていますが、今後は不必要な情報を「処分する」ツールの方に関心が移っていくのではないかと思います。
逆に不必要な情報ばかりを持ち込み、最終的に「捨てられるコンサルタント」になってしまわないよう、僕も十分気をつけないと・・・。