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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

今週月曜日、たまたま同時にキャノンとエプソンの新型プリンタが発表されたという記事を目にして、おやっ?と感じたことがありました:

写真の楽しみは「プリント」にあり──キヤノンのインクジェットプリンタ発表会 (ITmedia +D)

「お店ならキレイ」は誤解--エプソン、よりキレイを追求したプリンタを発表 (CNet Japan)

記事を読んでいただければ分かると思いますが、両社とも「デジカメの写真を、お店に行かずに自宅で印刷してもらうための工夫」を模索しています(家庭用プリンタなので当然ですが)。まずキャノンの方はというと:

「お店に行かなくても家で印刷してもらうためには多くの機能を簡単に使える操作性が必要」と清水氏は述べるが、多くの機能をプリンタに実装するとボタンの数が多くなって操作が難しくなる。その相反する要求を満たすために2006年の新製品で搭載されたのが「イージースクロールホイール」だ。使う機能をボタンを連打して呼び出すのではなく、ホイールを回してメニューを選ぶことで操作性を格段に向上させている。

と、操作性の向上をうたっています。次にエプソンのコメントはこちら:

一方で、「お店に持って行けばキレイになる。プロがやるから安心といった誤解がある」と、エプソン販売代表取締役社長の真道昌良氏は言う。「(おうちプリントへの訴求について)努力が足りないことを痛感している。ユーザーが潜在的に持っている不安感を払拭していきたい」と語った。

と、記事タイトルにもなっている通り、「よりキレイ」を模索する姿勢を示しています。

実は最近、僕はすっかり「お店プリント」派になっています。1年前に買ったエプソンの複合機があるので、自宅でもデジカメ写真を印刷しようと思えばできるのですが、ほとんど使うことはありません。そんな僕がこの2社の新製品発表記事を読んで、新しいプリンタが欲しくなったかというと、まったくそんなことはありませんでした。理由は簡単。操作が簡単になろうが、画質が向上しようが、「家庭用プリンタを使える状態にしておくこと」に手間がかかるからです。

その最たるものがインク。何種類にも分かれていて、それぞれインク切れしないように保っていなければなりません。しかも1種類だけ無くなったのでそれを補完しようとしても、全種類のセット販売になっていて(最近はバラ売りしているのかもしれませんが)よけいなお金がかかります。しかも製品のバージョンごとに使うインクが違い、いちいち型番を確認しないといけません。しかもクリーニングしなければインクがつまって、再度印刷をやり直さなければいけなくなったり・・・。

インクでこれだけ手間がかかることに加え、プリンタ本体の不具合・セットアップ・用紙の補充などなど、とかくプリンタの維持は面倒なものです。エプソンの分析によれば、

エプソンによると、家でプリントする率は44%で、30~40代男性の利用者が主だという。お店プリントは37%で、60代男女、20~30代女性が多いとしている。

ということですが、女性やお年寄りが便利な「お店プリント」に走るというのも理解できます。しかも最近はキオスク型の装置があちこちに置かれていますし(僕も近所のセブン-イレブンをよく利用しています)、思い立った時にすぐに印刷ができます。少なくとも現段階で、「自宅ですぐに印刷できるけどメンテナンスに手間がかかる」と「100m離れたコンビニに出かけなくちゃいけないけどメンテナンスの手間が要らない(しかもプリンタ設置スペースもいらない!)」のどちらを選ぶかと言われたら、僕は迷わず後者を選びます。

プリンタにより美しい画質を求めたり、多機能性を求めたりすることを否定しているわけではありません。しかし、「もっと簡単に印刷を楽しみたい」と感じている消費者層も多いはずです。そうした消費者が少なからず「お店プリント」に流れているのではないか -- と考えていたので、キャノン・エプソンの両社が高画質・多機能にばかり目を向けていることに違和感を感じました。

けど正直なところ、「顔を認識して自動補正!」なんて機能をアピールされると、無性に新しいプリンタが欲しくなってしまうんですよね・・・メーカーにしてみれば、そんな「ガジェット好き・新しいもの好き」ユーザーに売り込む方が簡単だし、儲かるのかもしれませんが、ぜひ「お孫さんの写真が簡単にプリントできる」高齢者向けプリンタなんて方向性も目指して欲しいと思います。

アキヒト

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コメント
ooki 2006/09/28 13:45

いやぁ、仰るとおりですね~。
我が家のプリンタは、黒のインクが切れてまもなく・・・3ヶ月。(^^;
面倒くさいんですよね、だったら店か会社で印刷します。紙の印刷なんて、どうせ仕事のものしかないですし。
最近では、年賀状もめっきり減りました。そのためにプリンタを買うのもねぇ、という感じですね。
そこを打破するような仕組み、概念が出てくると良いですね。

アキヒト 2006/09/28 23:03

おぉ~、3ヶ月とはツワモノですねw
しかし実際、インクを買いに行くのってかったるいものです。奥さんに頼むのもかわいそうだし・・・(間違ったのを買っても責められないですしね)。
確かに年賀状印刷も減りました。(デメリットを減らすのではなく)メリットを強調するなら、もっと「家にプリンタがあるとこんなに良いことがある!」という新しいアイデアを期待したいですね。

MNP 2006/09/29 14:47

私の場合、確かに、インクジェット維持していくよりもお店プリントに頼った方が良いのと安いのは分かってるんです…が、カラーマッチングの問題(つまり、自分の意図した色がちゃんと出るかという問題)があるのと、あとは写真屋が遠い(車で2キロぐらい)という物理的な問題からインクジェットで出す方が手軽だったりします。

でもデジカメで撮ってインクジェットで出すって言うのは、ある意味フィルムで暗室をやるのと同じ事だと思うんですよね、つまり写真を「作品」として出すのであれば全部1人で完結するのが正解だと…フィルムでもカラーの時代になってからラボ任せの風潮が強くなって(カラーの暗室は難しいためでもありますが)その辺を忘れてる人が多いんじゃないかと思いますが…どうでしょう。

アキヒト 2006/09/30 15:49

MNPさん、コメントありがとうございます。
デジカメ→インクジェットという作業を、フィルム→暗室という作業になぞらえるというのは面白い発想ですね。確かに思い通りの色に仕上げるために、あれこれプロパティを変えてみるというのは、暗室での作業に近いのかもしれません(と言いつつ、残念ながら僕は暗室で写真を現像したことはないのですが)。
その意味では、「いくら手間がかかっても自分の納得する一枚を」という人々と、「そこそこの品質でいいから簡単・手軽に」という人々が存在しているのかなと思います。前者の人々には、仰る通り高度なインクジェットを家庭に保有することが適しているのでしょうね。

2006/10/04 21:39

きっとメーカーも本音のところでは「お手軽」に敵わないと思っているんでしょうけど、それは口が裂けても言えないんでしょう。
うちは家内が写真を撮ると紙焼きします。私も先日プリントサービス利用しましたが、手間いらずで便利でした。でも私が個人的に撮った写真を紙にすることはあまりありません。なのでうちではプリンタの用途は専ら年賀状とカレンダーの印刷がメインですかねー。家を新築したときは登記書類の印刷その他に活躍しましたけどそれでも確かにいちいちプリンタを印刷するために準備するのは面倒です。
コンビニにキンコースみたいなデータ持ち込むと印刷してくれるサービスがあるとプリンタを家に設備しなくて済むので嬉しいかもしれません。今はコンビニにはコピーしかないのでそういう意味でうちにプリンタがないと困ります。

アキヒト 2006/10/05 22:52

ら さん、コメントありがとうございます。
確かに本音では「お手軽」に敵わないと思っているかもしれませんね。小型・カンタンを打ち出している製品もありますが、「所有しない」というのが最もお手軽な道なわけで、大胆なモデル転換でもしない限りプリンタメーカーに残されているのは「既存路線を突っ走る」ということなのかもしれません。


> コンビニにキンコースみたいなデータ持ち込むと印刷してくれるサービス


これは良いですね。最近はセブン-イレブンが「ネットでプリントアウト」の実験をしていますし:
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0609/14/news093.html
このようなサービスが実用化される日も近いのかもしれません。


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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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