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オーマイニュースに感じる違和感

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プロの記者ではない、一般人が記者として記事を投稿するというニュースサイト「オーマイニュース」日本版がスタートしました。いわゆる「市民参加型ニュース」としては、JANJANライブドアPJなどの先行サイトが存在していますが、オーマイニュースはこれらの先駆けとなった韓国オーマイニュースの日本版ということもあり、注目を集めています:

オーマイニュース創刊 「実名で本音を言う文化を」と鳥越編集長(ITmedia News)

この件については、既に Polar Bear Blog の方で「RSSが無い」とか「良記事が探せない」といったコメントを書いているのですが、ここでは最も気になっているポイントを。

2ちゃんねるやブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の日記など、個人が自由に発言できる場はネット上には多いが、オーマイニュースは「実名による本音記事」が集まる場にすることで、これらと差別化していく。

以上は ITmedia の記事からの抜粋なのですが、他の記事でも似たようなコメントがされていますので、オーマイニュース編集部の方針と受け取ってよいでしょう。また過去の関連記事なども合わせると、「実名による本音記事」という言葉には、「責任ある発言」「良識」といったニュアンスがあるようです。

僕だけでなく、ブログを情報収集の手段としている人にとっては、この発言には違和感を覚えるのではないでしょうか。オルタナティブ・ブログを始めとして、実名を晒して情報発信しているブログや個人サイトは多いですし、ニックネームで書かれているブログでも深い分析を行っているものなど、いくらでも挙げることができます。そんな状況で「実名による本音記事」が差別化のポイントとなるのでしょうか?変な話、仮にオルタナティブ・ブログが編集部による検閲の上で記事をアップするサイトになれば、いまのオーマイニュースが求めているものは達成されてしまうでしょう。(※「ニュース性の高い記事を集めるのがオーマイニュースなのだ」という反論があるでしょうが、現在のところ、個人記者が作成した記事にはさほどニュース性・速報性が高いものは見当たりません。)

CNET Japan 読者ブログのような、新たな「ニュースサイトがホスティングするブログ」が始まったのだという捉え方をすれば、それほど気になることはないのでしょう。しかし、実は良質なコンテンツで溢れている(決して「良質な記事だけ」とは言いませんが)既存のCGMを無視し、ことさらにそれとの対立姿勢を見せていることに疑問を感じざるを得ません。

まあ他サイトとの差別化など、これから考えていけば良い話なのですが。しかし既存CGMとの対立姿勢は、思想的な対立を招いたり、既存CGMからの良質なコンテンツの流入を妨げるなど、弊害を招く危険性もあるでしょう。少なくとも既に実名でブログを書き、一定の評価を得ている人々にとっては、オーマイニュースにあえて記事を投稿する意味を感じないのではないかと思います(最大2,000円の原稿料を除く)。従ってオーマイニュースには「実名による本音記事」以外の存在理由を見出すことが、切実に求められているのではないでしょうか。

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