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ミーティングスペースとやる気の関係

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日経のサイトで、ちょっと面白い内容の記事が掲載されていました。なんでも社員のやる気を向上させるためには、打ち合わせ場所の有無が重要であると考える経営者が多いとのこと:

社員のやる気を向上させるオフィスの条件は「打ち合わせ場所」、コクヨの調査(nikkeibp)

コクヨが企業の経営者・役員に対して実施した、オフィス環境に関するアンケート調査について。それによると、

...経営者や役員の94.1%は、従業員のやる気がオフィス環境に左右されると感じており、51.4%は、やる気を向上させるオフィスの条件として「従業員用の気軽な打ち合わせ場があること」を挙げた。

とのこと。打ち合わせ場所の有無に続き、「静かで落ち着いた環境」や「収納スペースが広い環境」を重視する割合も高かったそうです。皆さんはこの結果、どう思われますか?

調査はあくまでも経営者の視点から考えた「やる気を向上させるオフィスの条件」ですから、社員からすれば「広い個人用スペースが欲しい」「休憩場所が充実して欲しい」などといった意見が挙がるかもしれません。確かに僕もそんなオフィスがある会社に勤めてみたいです。しかし、それらは表面的な「やる気」を刺激するものであり、働くうえでの「やる気」を刺激するためには、経営者が考える通り「ミーティングスペースがあること」が重要なのではないかと思います。

人間は一人で働いていると、どうしても考えが煮詰まってしまうときがあります。そんな時、雑談程度でも他人に相談ができたり、意見を聞けたりするだけでけっこう新しい道が見えてくるものです。しかしある程度の騒音を出しても許される場所や、ホワイトボードなどを使って考えを表に出すことができる場所がなければ、そうした気軽な打ち合わせは不可能です。そんなオフィスでは、例え広い個人用スペースがあったとしても、個人が喜ぶだけで集団としてのパフォーマンスは上がらないでしょう。

従って打ち合わせができる場所の確保は、社員を喜ばせるという意味での「やる気」刺激にはなりませんが、仕事の生産性という意味での「やる気」刺激には欠かせないものだと思います。「しかしミーティングスペースをふんだんに確保することができるほど、裕福な会社ばかりではないでしょう(ちなみにナイショなのですが、弊社でも会議室の奪い合いが発生している状況です)。そんな時はせめて、長居をしても疲れないようなイスを休憩室・社員食堂に設置したり、カフェのお茶代を会議費として清算することを許したりなどといった代替があっても良いのではないでしょうか。

また以前もご紹介した『POST‐OFFICE―ワークスペース改造計画』という本では、様々な場所をホワイトボードにして、様々な場所で突発的なミーティングを開くことを可能にする(そしてそれを促す)ということを提案されています。例えば壁全体をホワイトボードにしたり、ガラスにも書けるようにしたり、トイレの壁や扉までホワイトボードにしたりなどなど(さすがに個室でミーティングする人はいないでしょうが・・・)。僕の前職では近い環境が整備されていたのですが、確かに「書きながら話ができる」という場所があるだけで、結構ミーティングができてしまうものです。その意味では、もう発売になっている(はずの)こんな製品がミーティングスペース増設の代替になってくれるかもしれませんね。

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