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数字からみたパッケージCDとの違い

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前回は、音楽配信市場の潜在競合について考えました。
これから、「当たり前の競合=顕在競合」について考えて見ます。

音楽配信の顕在競合は、言うまでのなく、CDの販売及び賃貸です。
つまりCDショップとレンタルCD店になります。
まずはパッケージCDとの違いを考えてみます。

数字から見たラインナップの違い

音楽配信は、「楽曲数が少ない」と言われます。
これは当然の事ながら、CDに比べて、と言うことですが、
では、音楽配信と、CDを数値で比べてみましょう。

日本レコード協会http://www.riaj.or.jp/
の発表によると、
2004年の1年に発売された新譜の数は、
邦楽:9,281タイトル
洋楽:6,387タイトル
合計:15,668タイトル

となります。

1タイトルあたりの平均収録数が10.5曲と言われていますので、
2004年の1年に発売された新譜の数は、
邦楽:約10万曲
洋楽:約6万曲
合計:15万曲

となります。
(ただし、8cmCD・カセット・アナログレコードの新譜、
及びレコ協非加盟レーベルの発売分を考慮する必要がありますので、
あくまで目安です。)

CDが流通するようになった1983年からの、
新譜の合計(累積)は、
252,773タイトルとなります。
(洋・邦合算、8cmCD・カセット・アナログレコード除く)

つまり、
CDが流通するようになった1983年から発売された楽曲は、
約250万曲
となります。

しかしその一方で、そのすべてが今流通しているわけではありません。
2004年のカタログ数は、
86,378タイトル
つまり
約90万曲となります。

言い換えれば、ちょうど66%が廃盤となっています。
実際には流通在庫で残っていたり、中古店で置いていたり、
インディーズ、欠品なども考慮する必要がありますので、
繰り返しますが、目安とします。

ではその一方で、配信はどのような状況でしょうか?

配信はカタログ数で苦戦

また詳しくご説明しますが、ITMS(Itunes Music Store)に関しては、
許諾のとり方が、国内サイトの中では異例ですので、その他のサイトを例にとります。

国内サイトの配信数は、ほぼ横並びの、
数万~20万曲未満となっています。
確かに多いとは言えない数字です。
基本的に音楽配信は、
在庫リスクがない⇔品揃えを多くできる
というのがCD販売に対する大きなアドバンテージです。

それが現実的には、音楽配信で買える楽曲(=品揃え)が、
お店で買えるCDの10~20%
(配信では旧譜・廃盤も含むため、実際には、10%以下)
今までに発売されたCDの4%~8%
となっています。

ポテンシャルを感じる売上

しかし一方で、この少ない商品数で、現在の売上を上げていると考えると、
音楽配信のポテンシャルを感じます。
つまり、2005年の上半期のダウンロード売上5億円と、伸び率から、
2005年の年間ダウンロード売上を12億円とします。

仮にカタログ数が、流通するCDと同じ(100万曲)になると仮定すると、
12(億円)× 10倍 = 120億円
という(非常に楽観的な)予測を立てることができます。
当然、カタログが増えたからと言って、その分売上があがるわけではありませんので、
計算自体ナンセンスではありますが、
配信カタログ数の増加によって、
利用ユーザ数の増加と客単価の増加(ダウンロードする楽曲数が増える)につながり、
市場が拡大することは間違いありません。

音楽配信は、CDと比べて、まずこのカタログ数が少ないことが数字的にわかりましたので、
次回はその他のファクターで比べてみたいと思います。

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