オルタナティブ・ブログ > 営業マンがイキイキ動き出す! リクルート流チームづくりの極意 >

経営者や営業責任者の8割以上が、自社の営業チームが思ったように動かずに悩んでいます。リクルートでもっとも多くの営業チームを立ち上げ、5年連続でNo.1マネジャーの評価を得た著者が「売れるチームづくり」の極意を語ります。

リクルートはブラック企業か?

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最近、「ブラック企業」という言葉をやたらと耳にするようになりました。

メディアのあおりに安易にのるのはあまり好きではありませんが、
先日、新宿で知人と一杯飲んでいた時、ちょっとおもしろい話になったので
書いてみようと思います。



K氏:ブラック企業、というと僕が最初に連想するのは訪問販売とか
   マチ金とかなんですけど、最近はあれですか、外食のワ○ミ
   なんかがやり玉に挙がってるみたいですね

庄司:参院選もありましたからね~

K氏:そういえばこれ、見ました? ブラック企業の特徴、見極め方、
   だそうですけど

庄司:えっなんですか?

K氏:(1)長時間残業、終電帰宅当たり前

庄司:うんうん。

K氏:(2)離職率が高い

庄司:なるほど。

K氏:(3)労働組合がない

庄司:ああそれもありそうですね~
   ん? でも、待てよ・・・

K氏:どうかしましたか?

庄司:その3つって、リクルートもあてはまるんだけど(笑)

K氏:おっ、庄司さんの古巣ですね



そうなんです。
私は20代で6年、40代で6年間リクルートで働き、そこで得た経験を
もとに営業リーダー養成、営業チームマネジメントの仕事をして
います。

思えばリクルートで仕事をしているときってものすご~く働いていました。
終電帰宅当たり前の長時間残業の日々でした。

リクルートの離職率については、創立から50年以上経っている会社なのに定年まで
つとめた人が数人しかいません。

労働組合があったという話も聞いたことがありません。



K氏:はははは、そこだけ聞いたらリクルートは完璧ブラック企業ですね。

庄司:ほんとですね。
   実際、銀座8丁目のリクルートビルは昔から「不夜城」と
   呼ばれていたぐらいで、残業時間の長さじゃ十分ブラック認定の予選を
   突破してたと思います。

K氏:じゃあ何が違うんでしょう? 労働時間とか離職率とか、
   そういう数字以外のところにブラックと非ブラックを分ける
   壁があるなら、それはいったい何なのか!!

庄司:そうだなあ、何が違うのかなあ・・・
   あくまで主観ですけどね、リクルートの場合、万が一そういう内部告発者が
   出たとしても、会社が釈明する前に、まわりの社員が「あいつわかってねえ
   なあ」って言うような気がしますねえ。

K氏:どういう意味ですか?

庄司:う~ん、なんというのか「やらされ感」の違いですかねえ。

K氏:やらされ感?

庄司:そう、納得いかない仕事をムリヤリやらされてる感じ。
   リクルートは不思議とそういう感じじゃなかったんですよね

K氏:リクルートの仕事は楽しいからやってた感じですか?

庄司:いやいや、とんでもない!
   はっきり言って死ぬかと思うこともありましたよ(笑)

K氏:あらら(笑)

庄司:ところがね、その頃のことって、渦中にいるときはそんな楽しんでる余裕なんて
   ないんですけど、ふり返って思い出すとみょうに楽しいんですよ。
   これ、わたしのまわりのリクルート経験者はみんな言います。

K氏:ほお。

庄司:この感覚ってね、なんだかマラソンに似てる気がするんですよね。

K氏:マラソン?

庄司:ええ、私40歳の記念に一度だけホノルルマラソンに出たことがあって、
   そりゃあもうヘロヘロになりながら這うようにしてゴールしたんですけどね、
   走ってる最中はしんどくてしんどくて「ああ、やめときゃよかった、
   なんでこんなもん出ちまったんだ」ってずーっと思ってた。
   ところがね、今思い出すとものすごく楽しかった思い出に変わってる。

K氏:なるほど。

庄司:そう、そのときにいっしょに走った友だちと話してたのが
   「これって、誰かにムリヤリやらされてたら10キロも走れねえよなあ」
   と、いうことだったんですよね。

K氏:つまり、「やらされ感」でやってたら絶対にできなかった。

庄司:そなんですよ!

K氏:う~ん、なんだかわかる気がしますねえ。

庄司:もしかするとリクルートって他の会社と比べて、そこで働いている人たちの多くが
   主体的に仕事をしていて、そういう意識を持ちやすい環境があるんじゃあ
   ないでしょうかね。
   だから、自他共に認めるナマケモノのわたしですら、まちがえて死ぬほど
   仕事をしてしまう(笑)

K氏:はははは、「主体的に」っていうのがキモのようですね。

庄司:ええ。それともうひとつは仲間と力を合わせてる感覚が妙に楽しかったんですよね。
   仕事が学園祭の前みたいで。

K氏:ああー、作業が押しちゃって徹夜続きで体はしんどいんだけど
   夜な夜な部室に集まってくだらない冗談飛ばしながら準備してるのが楽しいみたいな?

庄司:そうそう、
   それで祭本番でわーっと盛り上がって、
   終わったら終わったで、みんなで苦労した分、打ち上げがまた盛り上がって
   話がつきない、そんな感じ。

K氏:なんだかうらやましいですねえ・・・・

庄司:ブラックって感じがしないのは、そのへんかなあ・・・




「リクルートみたいな営業チームを作りたい」
という経営者の方は今でもとても多いです。

おそらくそれは、リクルートの営業力もさることながら、リクルート社員の
モチベーションの高さへの興味とあこがれがあるのだと思います。

わたしも「リクルートみたいに」みんながイキイキと働きながら成果を出して
成長できる、そんな営業チームのつくり方をお伝えしていきたいと
思っています。

それにしても興味深いのは、星の数ほど会社があるなかで、なぜリクルートだけが
特出してそういう会社になっっていったのか、ということです。
今年残念ながらお亡くなりになられたリクルート創業者の江副さんは
どちらかといえば内向的な人だったのに、そこからリクルートのような外向的な会社が
生まれたというのは今でも不思議な気がします。


このテーマについては、

「リクルートを経験して」
かつ
「コンサルタントという職業を選んだ」

わたしのひとつのミッションとして、引き続き探っていきたいと思います。


ではまた次回。

つづく
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