映画『アーティスト』
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レンタルDVDで『アーティスト』を観た。無声映画的な演出で、トーキーへの変わり目の時代を、古典的な枠組みで描いたアカデミー賞作品。
http://artist.gaga.ne.jp/
ものすごく「面白い映画」かといえば、それほどでもないのだが、しかしよくできていて楽しめる。
まず、この時代に黒白でほとんどがBGMだけの映画を作り、セリフはほとんどが無声映画時代式のクレジットですませている。その結果、何かを話しているが、声の聞こえない場面が多く、もちろんストーリーを知る障害にはならないが、無声の場面を観る者が想像していくことになる。そういう状態は、今の映像ではほとんどないので、そうした感覚自体が面白かったりする。同時に、音楽の効果の大きさが感じられる。そうやって作られるドラマは、シンプルだが、不思議な興味深さを持っている。映画の受容の歴史を思いながら観ると面白い。
けれど、俳優、とくに女優の体は今のスマートな身体で、今の基準からすれば太めで寸詰まりの当時の身体ではない。それが、もっとも「今の映画」を感じさせる部分なのも、面白い。
それと、最後のタップダンス場面は短いが見ごたえがある。昔懐かしいミュージカルの感じで、フレッド・アステアの踊りが観たくなるね。
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