三浦知志「ウィンザー・マッケイのマンガ作品に関する研究」
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東北大学の三浦知志さんの2009年博士論文「ウィンザー・マッケイのマンガ作品に関する研究 -「レアビット狂の夢」とマンガ言説の問題-」を読みました。
http://ir.library.tohoku.ac.jp/re/handle/10097/48172
緻密で、しかし読みやすく、難しい表現を使わずに問題を提起しており、ウィンザー・マッケイの新聞マンガ前後の歴史について大変勉強になりました。また『夢の国のリトルニモ』で有名なマッケイですが、ここでは『レアビット狂の夢』という、特定のキャラクターを使わない作品を通じて、過去の作品・作家が「発見」されたり再評価されたりして言説が形成されるときの原理的な問題を提起しています。マッケイがチョークトークという見世物芸をやっていたことは知られていますが、それとの関係でマッケイ作品を読みとき、単純に現在の目から「メタ表現」として称揚してしまう危うさを指摘しています。これは、どんな作品・作家を研究する場合にも重要な問題意識なので、マンガ研究に興味のある方はぜひご一読を。
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