映画『GOYA'S GHOST』
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『アマデウス』のミロス・フォアマン監督作品(2006年)。日本題『宮廷画家ゴヤは見た』(ださ~~)。DVD借りた。
http://www.beltek.co.jp/goyasghosts/
日本題はダサいが中身は面白かった。宮廷画家であり、かつカソリック勢力や庶民、戦争のカリカチュア版画を多く残し(ためにマンガ史記述にも出てくる)、日本から観ると摩訶不思議な恐怖と不安に彩られた幻想的な絵を残したゴヤ。彼を道化回しにして、カソリックと王政、フランス革命の影響と敗退によるスペインの混乱を描いた歴史劇。
ゴヤの風刺版画を契機に中世的な魔女狩り的審問を復活主導したロレンソ神父が、事実上の主人公といえるだろう。ゴヤのモデルにもなった裕福な商人の娘が審問にかかり、ゴヤの斡旋を受けて彼女に会ったロレンソは審問の牢獄で裸の彼女を犯す。その後、ロレンソは政争の中で逃亡し、やがてフランス革命軍の侵略とともに、革命思想に染まって帰還。逆に元の上司(?)にあたるカソリックの重鎮を逮捕、自由の名のもとに死刑判決を行う。が、こののち、スペイン独立戦争に英国軍が乗り込んで、再び逃亡するも、捕まって死刑になる。この間、転変するスペインを眺めながら、その中で翻弄される娘を探し、ロレンソと交渉するゴヤを描く。スペインは、この独立戦争によって内戦につぐ内戦の時代を迎え、これがアメリカの独立戦争にも飛び火するらしい。
スペインについてはまったく詳しくないし、ゴヤの生きていた歴史背景も知らなかったので、フィクションではあるが、何となく彼の描いた恐ろしいイメージと宮廷画家としての作品の間にあるものを想像できる気がした。
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