奥田英朗原作・西村拓『家日和』集英社
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もうひとつ、嬉しいことがあった。
以前、ブログなどで紹介したジャン・ポール西さんが、フランスでの経験を描いたマンガがある。
メビウス氏、誕生パーティで、このJP西さんこと、西村拓さんが話しかけてくれて、感謝された。そういうのってすごく嬉しい。で、そのときいただいたのが新作『家日和』。
夫や妻の日常を、中間小説でも読むようなシブい印象で描いた連作で、素晴らしかった。
突然、会社が倒産して、妻が働き始め、周囲の心配をよそに、自然に主夫になってゆく男のひそかな満足を語る「ここが青山」。ネットオークションを始めて若返り、ハマってしまう妻の危機を描く「サニーデイ」。夫が危ないベンチャーに乗り出すたびに、なぜか創作意欲とアイデアが湧くイラストレイターの妻を描く「夫とカーテン」。デザイナーの妻が出て行った部屋を、学生時代に夢見たオーディオで埋め、同僚の男どもの秘密の部屋になってゆく「家においでよ」・・・・などなど。どれも、小気味のいい掌編である。
夫婦の日常を淡々と描く大人の視線が心地よく、感動した。いい仕事をしているなあ、と嬉しかった。オススメであります。西村さん、ありがとう。
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