バリ日記(5)
3月26日
7時起床。走圏、朝食。
京子さんと話していると、すぐ横で携帯が鳴ったように思えた。が、じつは5メートルほど先で鳴っていた。ニュピの日は、あたうかぎり機械音がない。車、バイク、電気系統のモーター音などが止まる。風や水や鳥、虫、家畜などの音と声以外存在しない。すると不思議なことに、それらの音が一種耳への圧力のようにして迫ってくる。そして、いつもの音の聴こえ方と変わってくるのだ。ただ、隣のとなりにあるワカ・ディ・ウマにやたらと大騒ぎする日本人グループがいて、プールでどんちゃん騒ぎをしていて、ちょっと煩かった。とか何とかいっても、とにかく静か。マニックと京子さんと午前中は長話をしてすごす。
マニックに「書とかは書いていい?」と聞くと、いいというので、昼間は部屋で書を練習。あと昼寝したりプールに入ったり(プールのモーター音が聞こえる)。昼と夜は、マニックが作ってくれた。
陽が落ちて、問題の夜である。何せ、暗いので何もやることがない。星を見たり、暇なのでベランダで瞑想してみたり。闇の中で、自分の体から蒸気のような白い煙がもあ~~んと湧いてくる。太極拳の站椿とか気功で感じる気みたいなもんなのだが、量が多い(笑)。
星がとにかく大量に見える。銀河が見える。蛍も多い。とはいえ、やっぱり時間がもたない。ヘッドランプを点けて、40分ほど読書して、11時40分に就寝。
3月27日
7時起床。プールで泳ぎ、絵を描き、昼は京子さんとマニックの実家でナシ・チャンプルをご馳走になる。
現地風に手で食べようと試みるが、指に米がついてしまい、そのわりに固まってくれず、ぽろぽろ落ちる。おいしかったけどね。
いったん、宿に戻り夕方、マニックがマンディ(沐浴)に行こうというので京子さんとついてゆく。昔、渓谷の川で空を見上げながらマンディした気持ちよさを思い出し、期待していった・・・・のだが、マニックの「散歩」とは英語でトレッキングのことであった。エンエンと水田の畦道を行き、ばあっと拡がる水田の絶景はよかったのだが、次第に渓谷に入ってゆくと、道はハシゴに近い角度で、おまけに小川のように水が流れ、高所恐怖症の僕としてはかなり必死。散歩どころかほぼインディ・ジョーンズである。マニックは平然と「急がないと陽暮れる」とかいいつつ、どんどん先に行く。
陽が暮れ始める水田風景。
ようやく渓谷のマンディ場に着き、僕とマニックは沐浴。何か下水みたいに見えるけど、地下水で、飲み水にもしている。
で、さすがに帰りはマニックも近道で帰ったのだが、それでも汗かいたので、宿でまたシャワーあびる。夜はマニックがパダン料理を買ってきてくれて、食べる。マニックは、僕に「顔変わったね。パワー出てきたね」と嬉しそうにいう。でも、そういわれると嬉しい。
夜、ベランダで例のごとく夜を眺めていると、蛍がふわ~っとベランダに二匹入ってきた。一匹は部屋にも入ってきて、寝るとき天蓋にとまってくれた。12時就寝。