【書評】『バリュープロポジション戦略50の作法』:一座建立
オルタナティブ・ブロガ―の大先輩、永井孝尚氏から、先日の定例会の際にいただいた一冊。この表紙どこかで見たことがあるなと思ったら、それもそのはず。自分のブログの右下に貼ってあるバナーが、本書のものであった。
本書は、顧客視点による差異化を考える上で有効な「バリューポロポジション」というものをベースに、マーケティング戦略を構築・推進するための作法を紹介した一冊。
◆本書の構成
顧客視点で市場を理解するための14の作法
戦略を構築するための11の作法
戦略を実践するための13の作法
戦略を検証し、改善していくための12の作法
見開き2ページ毎に一つのテーマが設定されており、テーマ毎に、解説、事例が紹介されていくという構成。ここで取り上げられてる事例が、絶妙に日本人の琴線に触れるようなものだったりする。茶道の写真が表紙に使われているのも、うなずける。
特に興味深かったのは、顧客ニーズを説明しているパートの中にある「なぜ省エネルックが失敗して、クールビーズが成功したのか」という事例。省エネルックが失敗した最大の要因は「抵抗感」というものであったそうだ。その抵抗感をいかに払拭するかが、クールビズ導入の際の最大のテーマであり、それを克服することでクールビズは見事に根付いたのである。
その他にも、さまざまな作法が紹介されているのだが、一番重要なメッセージは、「真の顧客中心主義とはいかなるものか」ということにある。それを永井氏は、「一座建立」という茶道の世界の言葉で説明している。
一座建立=心をこめて濃茶を点てる。亭主と客の心が通い合い、主客一体となった茶席が生まれる。
優しい口調の中にも、時おり厳しい主張が入っていたりして、思わず背筋の伸びる一冊。永井さん、どうもありがとうございました。
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