本にすべて書いてあるのに、なぜ講演で話すのか?
今年9月末に本を出版してから、社外で本に書いた内容を講演する機会を何回かいただきました。
最初は、「全て本に書いたし、読んでいただければ分るはず。その上、さらに講演しても、参加される方々にとってあまり付加価値はないのでは?」と思っていました。
しかし、実際にやってみると、違いました。
ありがたいことに、参加された方々からは「本を読んではいたが、話を聞くと、改めてとても参考になる」というご意見を多く頂きます。
しかしよく考えてみると、これは当り前のことかもしれません。
多くの場合、講演では時間の関係で本に書いてあることを全て網羅できません。そこで、本の一部を取り上げてお話しすることになります。
そのような場合、特定箇所を深掘りしてお話しすることになり、本に書けなかったこともお話しすることになります。
改めて考えると、本に書いていないこともかなりあるのです。
本を書く場合には、その本に書く内容よりも多くの知識を持たないと書けません。
私の場合、仕事や勉強を通じて学んだことの中から、理解しやすいテーマに絞って本に書いています。
さらに、そのように絞ったテーマでも、見直しているうちに、「これは話の流れからすると違和感がある」とか、「これはちょっと違う感じがする」といった判断で、ボツにしたものが結構あります。
その意味では、この表題の「本にすべて書いてあるのに...」は私の思い込みであって正確ではなく、「本にすべて書いたつもりなのに...」が正しいのかもしれません。
また、常に分りやすく理解しやすいように書くことを心掛けてはいますが、文章で伝えられることには限界があります。
私の文章力の問題で表現しきれていないこともあるでしょう。また、読んで下さる方が忙しくて飛ばし読みすることで伝わらないこともあるかもしれません。
このように考えると、講演などで本に書いてある内容を語ることで、新たに伝えられることは多いのです。
また、参加された方々からのご意見や反応で、新しい発見が得られることも多いのです。
今後も「本の内容を話して下さい」というご要望は、できる限りお受けしたいと思います。