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【著者に訊く】「これだけ!プレゼンの本質」野村尚義氏インタビュー 1/2

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こんにちは、今回もお読みいただきありがとうございます。

今回はブログ内企画の「著者に訊く」第2弾。

本日、2月21日に発売された「これだけ!プレゼンの本質」の著者である、野村尚義さんにインタビューを行いました。

当ブログの読者さまにも、人前でプレゼンする機会がそろそろ多くなってきたが、いまいち苦手意識が払拭できない・・・そういう方が少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

野村さんはプレゼンテーション・アドバイザーとして、これまで12000人ものスピーチ、プレゼンテーションを指導してこられた、まさに「プレゼンテーションのプロフェッショナル」。AllAboutのプレゼンテーションカテゴリでもガイドを務めたり、最近は毎日新聞での連載も始められるなど、多方面でプレゼンテーションのスキルアップのためのノウハウを積極的に提供しています。

 
 

このインタビューでは、野村さんの著書の内容をちょっとだけ紹介しながら、プレゼン能力を向上させるために必要なトレーニングはどのようなものか、さらにはプレゼンを行うときのあるべき心構えがどのようなものかについて、お話を伺ってみました。

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眞山:まず思ったのですが・・・「内容が盛りだくさん」だなぁ、と。300ページという分量は決して少なくない。しかも内容もギッシリと詰まっている印象です。

 
野村:そうですね。この本を手に取った方が満足していただけるように、と思って色々な情報を詰め込んでいったら、これだけのボリュームになりました。無駄な部分を削ろうと思っていたのですが、なかなか削る場所がなくて(笑)

 
 


 

コンセプトがすっぽり抜け落ちたプレゼンが多い

眞山:とても読み応えがある本なのですが、その中から内容をちょっとだけ紹介すると、「ダイヤモンドの3ステップ」として、コンセプト設計、シナリオ設計、スタイル設計の3段階を提唱されていますよね。特にコンセプト設計のところって、凄く紙面を割いて書かれている。本書を前から順に読んでいった時、最初の「コンセプト設計」のところで、正直「これって、本当にプレゼンの本なのか?」と思ってしまったんです。

 
野村:あー、よく分かります。やはりプレゼンというと、「話し方」とかに意識が向いてしまう方が多いんです。そういう方からしたら、コンセプトの部分はプレゼンの一部ではなく、別物に見えてしまうのかも知れません。でも、話し方や笑顔や姿勢だけを磨いても、選ばれるプレゼンはできないのです。一番大事なのは、何を伝えるのか・・・聞き手にどんな価値を感じてもらうのかということを磨き上げていくことなんです。3ステップで言うと「コンセプト」と「シナリオ」のところですね。ところが、その観点がごっそりと抜けているプレゼンターがすごく多い。

 

眞山:「すごく多い」というのは、野村さんが指導している方々を見ていて感じた経験則ということですか。

 

野村:そうです。本当に、コンセプト設計、つまり受け手に提供できる価値に目がいっておらず、他でだけがんばっている。逆に言うと、ここをしっかり伸ばすことでプレゼンのレベルが飛躍的に高められるとも思っています。

 

眞山:コンセプトを伸ばすことで、ですか。

 

野村:プレゼンを「話し方」と捉えていて、なおかつ既にそのトレーニングを積んでいるという方の場合、話し方は既にある程度スタイルができていたりするんです・・・長方形を想像してみてください。縦の長さが「話し方」、横の長さが「コンセプト、シナリオ」だとすると、縦に長い長方形になっているプレゼンターが結構多い。この長方形の面積がプレゼンのレベルだとしたら、既に長くなっている「話し方」を磨くのではなくて、短い「コンセプト、シナリオ」の辺を伸ばしてあげたほうが、手っ取り早くレベルを上げることができることになりますよね?

 

 

 

制約条件の中でどこまで詰めることができるか

眞山:長方形というのは、分かりやすいたとえですね(笑)ちなみに、野村さんが指導しているプレゼンターはやはり経営者層が多いんですか?

 

野村:はい。

 

眞山:そこのところで、少し訊いておきたいことがあるんです。私のブログをよく読んでくださるのは、30代くらいのビジネスマンで、社内では中堅の立場、管理職になるかどうかという立場です。そういった方にとって、「コンセプト」というのは上司から指示された、あるいは会社の方針によって決められた所与のものだったりするんじゃないか、と。そういった方がこの「コンセプト設計」をするのは少し難しいのではないかな・・・と思うんですが、どうですか?

 

野村:まず申し上げたいのは、「制約条件がまったくない中でプレゼンをする人は居ない」ということです。経営者は確かに中間層よりは自由度が高いかもしれませんが、取引先や、自社のリソースなどの制約を飛び越えてプレゼンすることはありません。
中間層の方も、確かにプレゼンしなければならない内容はある程度決まっていたり、場合によってはプレゼンの相手、営業先なども決められてしまっているわけですが、大事なのはそういう制約条件の中で、できるだけコンセプトなりシナリオを煮詰めていくということなんだと思っています。
中間層のプレゼンターの多くは、そういう詰めの作業を最後までやらないまま「もう、決まっていることで自分には権限がないから」と言って思考が止まってしまっている。でもトップのセールスマンとか、プレゼンを上手にこなせる人と言うのは、ギリギリのところまでその詰めの作業を怠らないんです。

 

眞山:経営者層ではなくても、ダイヤモンドの3ステップをしっかりと行うことで、プレゼンをまだまだ上のレベルに持っていけるということですね。

 

次回(2月24日掲載予定)は、プレゼンテーションのトレーニングや、本書でもっとも伝えたかった、プレゼンの本質について、野村さんの考えに迫っていきたいと思います。

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