【小ネタ】ジョブズがマイケルデルを引き合いに出した訳
池田信夫氏のブログでWired編集者によるスティーブジョブズの研究本"Inside Steve's Brain"が紹介されています(まだ持ってなかったので買いました)。
「アップルの企業戦略は、ジョブズの右脳で発想されて、左脳で処理されるんだよ」(ガイカワサキ)というように、アップルのイノベーションが組織的な形で行なわれているのでは全然ないというような話が盛りだくさんのようです。池田氏が引用した部分ですが、ジョブズ自身の話(「イノベーションの秘訣は?」という質問に対する回答)としてこんなことが書いてあるようです(翻訳は栗原による)。
イノベーションをシステム化しようとするのはクールじゃない人間が無理にクールに振る舞おうとするようなものだ。マイケルデルがダンスしようとしているのを見るのは痛々しいね。
なんでここでデルが引き合いに出されたかということなんですが、アップルと対照的に製品は普通でもプロセスのシステム化で差別化しようとしている企業の代表として挙げただけかもしれません。しかし、私には10年前のある出来事が思い出されてしまいます。
CNETの記事にもなってますが、1997年のガートナーのシンポジウムにおけるPCベンダーのCEOによるパネルで「今、アップルにアドバイスするとしたらなんて言いますか?」と言う質問(注: 当時のアップルはアメリオがクビになってジョブズが暫定CEOになったばかりの最悪の時期)に対して、マイケル・デルが「私なら『会社を清算して株主にお金を返せ』と言うね」と発言したのです。実は、この時はオーランドで生で観てたんですけが、会場が一瞬ざわついたのを覚えています。
しかし、そこから10年ちょっとでアップルの時価総額はデルの4倍以上になりました。ジョブズの発言は10年越しのお返しだったりしてなんて思ってしまいました。CNETの記事になったのでデルのこの発言はジョブズの耳にも入っているでしょうし。
IT業界の先は如何に読みにくいかということですね。そう言えば私も当時は「アップルがマックのクローンビジネスから撤退したのは致命的ミス」なんて発言してた記憶があります(爆)。
ということで、企業としてのアップルは将来楽しみなのですが、個人的にはまだマックを買うには至りません。だって、初音が(略)