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手書きのノートとクラウド連携 「KYBER」

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最近話題の優れたサービスを私なりに今日は取り上げてみたい。オーリッドが開発したKYBERというOCRサービスだ。

画像の中からコンピュータ処理で文字を読み取り、テキストデータ化するOCRという技術は良く知られていて、進化も続けているが、いまだ使えそうで使えないものという認識がある。文字認識率が100%ではなく、読み込んだ結果かなりの量の修正が必要だったり、そもそも手書き文字では十分な認識率が得られず、結局は使えないレベルだったりした。

しかし、そこに大胆なアイデアを取り入れ登場したのがオーリッドのKYBERだ。OCR処理に加え、人の力によるチェックと修正を行っているという。さっそく実際に使ってみた。

まずは街角で見つけたこんな手書き文字のあふれた看板をiPhone 4で撮影して、KYBERのOCRサービスに送ってみた。(注:8月の無料キャンペーン中に行った。通常は有料のサービスなので注意)

   kanban.jpg

KYBERから返送された結果はこうだ。

今週の定食
1.レバニラ、モヤシ炒め¥750
2.マーボートウフ¥750
3.チンジャオロース¥800
4.鶏肉と玉子のチリソース¥800
日替マーボーナス¥800
※ランチタイムはご飯おかわり自由です!
A.ラーメン+半チャーハン¥750
B.鶏肉そば+半チャーハン¥850
C.マーボそば+半チャーハン¥850
D.ワンタン麺+半チャーハン¥850
Eタンタン麺+半チャーハン¥880
F.五目そば+半チャーハン¥850
ジャージャー麺(冷やし)半チャーハン¥900
冷やし中華+半チャーハン¥950

KYBERの処理時間は10分ほどかかったが、それでもすばらしい認識率だ。消えかかっているような文字もしっかりテキストにしてくれている。これなら使えそう。これまでのOCR技術の実力を知っている身としても、ちょっと驚きの認識率だ。

OCRの認識率を補うために人の力を使う発想はほかにも聞いたことがあったが、ここまで徹底して完成度が高いのは初めてだ。

KYBERは、iPhoneアプリとして利用できるほか、「KYBER SmartNote」という製品(ツバメノート製の紙のノート)を購入することで利用できる。「KYBER SmartNote」や、KYBERの裏側で人の力をどのように使っているかは、こちらの記事が詳しい。

誠 Biz.ID:仕事耕具:アナログノート+高精度OCR――スマホ連係「KYBER SmartNote」 http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1109/14/news082.html

ASCII.jp:日本生まれのクラウドノート「KYBER」がすごい理由 http://ascii.jp/elem/000/000/635/635625/


この記事にある「KYBER SmartNote」も実際に購入して使ってみた。私の手書きのメモの悪筆はあまりお見せできるものではないかもしれないが、上の看板の例のようにかなりの認識率でテキスト化をしてくれた。

   20111101_123309+0900.jpg

結果はこうだ:

KYBERのテスト
OCRって、なかなか
認識率の良いの?
なくて、実用には
問題多かったよね。
どのくらい認識して
くれるのだろうか?
kei_1

1文字だけミスがあるが、ほぼ完璧。なかなかの結果だと思う。

この結果のテキストはメールで送れるほか、EvernoteやGoogleカレンダー、Facebook、Twitterなどに送って連携できる。出先に持ち出すのは、iPhoneに加え、小さなノートと鉛筆だけでよいのもすばらしい。

手書きという、極めてアナログな手段と、クラウドの最新のサービスを組み合わせたユニークなシステムになった。これを使いアイデアを書き溜め、提案書の作成時に活用するなどによさそうだ。たとえばEvernote自身もOCR機能を持っており、検索時に利用できるのだが、検索に使われるテキストデータはKYBERを利用したほうが格段に正確であることが期待できる。

それにしても、KYBERは日本発のアイデアだそうで、このユニークな発想はとてもすばらしいと思う。OCRと人力を組み合わせるアイデアは、比較的思いつくアイデアではあるが、実際にここまで徹底してシステム化してやってしまったこと、本当にすごいと思う。


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