思い付きで事務所を出す
私の会社はピーク時に従業員が何十人かいましたが、従業員は工場や現場に直接行くという、いわゆる人材派遣形態でしたので、工場や倉庫などはありませんでした。
事務所は私の部屋の一角です。
というよりも公私混同状態です。(笑)
新入社員の面接などは現場でやりますし、特に事務所が必要というわけではありませんので、それで十分で問題もありませんでした。
ある日、何人かの幹部と雑談していると、「うちの会社もだいぶ大きくなってきたんで、事務所くらいあったほうがいいのでは?」という話になりました。
他の者も「そりゃそうですわ~」、「事務所があったほうがハクも付きますわなあ!」となって、事務所を出す話で盛り上がってきました。
そうなると、私の単純な頭は「おお~、やっぱ事務所は必要やのう!」となります。(笑)
それから5分もしないうちに、事務所探しに入っていました。
私の家は田舎でしたので、その付近に出しても意味がなく不便ですので、街に出す必要があります。
また、行き先の工場などから近くなければ不便です。
それなりにいろんな点を考えて、隣町に出すことになりました。
そうなったら早いもので、ちょうど手頃なテナントが空いていて、そこを借りることにしました。
借りるまでのことはあまり覚えていませんが、やるとなったらすぐですので、最短で進んでいたと思います。
事務所の住所は「○○番地フジイビル103号」となっていました。
これだけではアパートの一室に見えてしまいますのでブサイクです。
そこで、勝手に「フジイビル1F」としました。
せっかく事務所を出すのですから、カッコつけることも大事なのです!
「・・・どれくらいのビルですか?」と聞かれたら、「大津プリンスよりもちょっと小さいビルですわ~」と答えます。
大津プリンスホテルは30階以上のビルですので、こう言えば、そこそこのビルというのがわかります。
でも、実際は2階建てでしたが。(笑)
ギャップは大きいですが、嘘は言っていないので問題ありません!
実際はともかく、大きく見せることも重要なのです!!
机やカウンターなど事務器一式を購入して、電話やパソコンなど必要な物を揃えていきます。
事務所前や道路に看板を設置して完了です!
これで、名実ともにそこそこの会社になりました。
こうして設けた事務所ですが、実は大きな問題がありました。
事務がやりにくかったのです。(笑)
立派な事務所になったわけですが、肝心の事務員はいません・・・
私が事務作業一式をやっていたのですが、わざわざ事務所に行ってやるよりも、家でやったほうがやりやすくて早いのです。
事務所には電話もありましたが、用があれば私の携帯にかかってきます。
というよりも、事務所には事務所類などはなく、机にメモ帳とボールペンが入っているだけだったのです・・・
カッコつけるための事務所だとしても、仕事は順調で問題も何もない状態ですので、よく考えれば別にカッコつける必要もありません。
ということで、すぐに無用の長物になりました。(笑)