名義貸しの深い意味
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ステンレスプールの工事も終わりにさしかかった頃、私の会社がメーカーとして名前が挙がるのは、資質に疑問があるという話が起こりました。
それを解消する案として、実績のあるメーカーの名前を出すことを言われました。
早い話が名義貸しですね。
最初は気分が悪かったものの、何が起こるかわからない爆弾を抱えているようなものですので、よく考えたらメリットの方が大きいことに気が付き、それで進めることにしました。
そこで問題になったのは、それにかかる費用です。
名前を出すのは上場企業ですし、それなりの責任も伴いますので、正確な金額は忘れましたが、それなりに費用がかかります。
私は表面上は仕方なく受け入れるようにしていましたので、「費用も出さないし、何があっても責任は一切取らない!」と言ってありました。
私は普段は態度はでかいですが、言う時はガツンと言いますので、そうなったら誰も反論できません。(笑)
どうするかは建設会社と設計事務所が決めるのですが、私が話をしているのは建設会社の所長で、設計事務所の偉いさんは出てきませんでした。
まるで私を避けているかのようでした。
私はどっちになっても大差ありませんが、向こうは費用がかかってきますので、かなり検討したようです。
系統上は設計事務所が上になりますので、建設会社は中間的な立場になります。
建設会社の所長はサンドイッチ状態になりますので、密かにこう言ってありました。
「何があっても知らんと言いましたが、所長に迷惑をかけるわけにいきませんので、そうなることが起こったら、すぐに言ってくださいな」
きっぱりと言っておきながら、密かに助け船を出したのです。
それを聞いて、所長は安心したようでした。
どうやら名義貸し費用は設計事務所と建設会社で折半したようで、そのメーカーが施工したことになり、私の会社は表から消えました。
それと同時に、抱えていた爆弾も消えました。(笑)
名前が消えたと言っても、その工事に残る書類からは消えただけであって、実績が消えるわけではありません。
この実績はこれからバンバン出すわけですし、むしろ一流メーカーの名前になったことは、うまく使えると考えたのです。
ある意味、弱みを握ったということです。
すでに、ステンレスプール業界に大きな風穴を開けていますので、はっきり言って書類の名前なんてどうでもいいことです。
考えれば考えるほど、願ったり叶ったりだったのです。
最初は、そこまで考えていませんでしたが。(笑)
あとは、とにかく完成させて、竣工調査などを終えて引き渡すだけになってきました。
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