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事業アドバイザーとして活動する以前は、会社の経営者として様々な事業を立ち上げていました。その時代の失敗談、成功談から最近の事業アドバイス事例、改善事例など、事業繁栄のヒントになる実体験を書きます。

工場見学で問題が発覚しないようにする作戦

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工場でパーツ製造が順調に進んでいると、工場見学の話が入りました。

プール工事一式を請け負い、私の会社の親会社に当たる会社と、その上になる建設会社の担当者などがパーツ製造過程を見学に来るということです。

その時に、いろんなメーカーのプール工事の現場を渡り歩いて、組み立て工事をしている会社の社長兼親方も来るということでした。

近くの工事現場まで来ていて、そのついでに一緒に見学に来るという話だったのです。

それを聞いて、少々焦りました。(笑)

プールの水路部分には、溶接による歪みを抑えるために、図面にはないセパレータが入っています。

50センチ間隔で入っていますので、プール一周にすれば、相当な障害物が入っていることになるのです。

それが見付かったら問題になるかも知れませんので、見付からないように隠すことにしました。(笑)

しかし、2mの大きなパーツですので、子供がおもちゃを隠すのとは訳が違います。

でも、できるだけ隠す努力はしなければなりませんので、工場には最大限の努力をしてもらうようにお願いしました。

(どんな努力やねん)

さらに、すべての水路部分が組み上がっているわけではありませんので、まだセパレータを入れていない部分を、よく見えるようにしてもらったのです。

そうして、できる限りの努力をして、見学当日を迎えました。

私は二つの作戦を考えていましたので、工場内の見学が始まると同時に、組み上がった壁面部分を指さしてこう言いました。

「これは図面通りに仕上がっていますけど、ちょっと弱そうな気がしますので、この部分を小さな鉄板で補強した方がいいような気がします。どうでしょうか?」

すると、親方はピシャリとこう言いました。

「図面にない物を勝手に付けるのはいけません。それをするなら図面の変更が必要です。この部分は、これで大丈夫ですよ!」

水路とは関係ない部分で、わざと何の影響もない部分に図面にない物を付ける話をしてみたのですが、即答で絶対にダメということだったのです。

「そりゃあ、図面にない物を勝手に付けるのはいけませんよね!ガハハハ!」と笑いながら、冷や汗が流れました。(笑)

全然影響がなく、補強になる物を付けるのもダメなのですから、水の流れに影響する物を大量に付けるのは、大問題になってしまいます。

とにかく、セパレータが入っているのを絶対に見付かってはいけませんので、次の作戦を実行することにしました。

その作戦とは、得意の雑談トークで気をそらすということです。(笑)

すでに組み上がったパーツ部分に近付くと、私が「人間壁面」となって断面部分を隠し、話を盛り上げてすぐに次に誘導します。

そして、それ以外の部分を見ている時に時間を費やしてもらうように、私の雑談トークが炸裂するのです!

プールの専門的なことは知りませんし、仕事の話も大してできませんが、その分、仲良く雑談するのは自信がありましたので、その必殺技が全開でした。(笑)

その結果、作戦通りセパレータを見られることもなく、無事に工場見学が終わったのです。

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