【AIの現在地】AIとの係わり方の4段階
AIの活用は、いま大きな転換点を迎えています。これまでの生成AI活用は、いかに上手に「頼むか」、すなわちプロンプトの工夫に主眼が置かれてきました。しかし、AIが自律的にタスクを遂行する自律型AIへ(Agentic AI)と進化するにつれ、人間の関わり方そのものを設計し直すことが求められています。その発展段階は、次の4つに整理できます。
第一の段階は「プロンプト」です。AIへの頼み方を設計する段階であり、指示の言葉を磨くことで出力の質を高めます。ただし、一回のやり取りで完結する使い方にとどまり、成果は指示する側の力量に大きく依存します。
第二の段階は「コンテキスト」です。AIにどの情報を見せるかを選ぶ段階です。社内文書や過去の経緯など、判断に必要な文脈を与えることで、AIは状況に即した出力を返せるようになります。頼み方の工夫だけでなく、前提の共有へと関与の範囲が広がります。
第三の段階が「ハーネス」です。これは、その都度の「お願い」を、あらかじめ定めた「制約」に変える足場を意味します。仕様書や行動指針、テストとCI、権限の設定、ログの記録、判断に迷った際のエスカレーションといった仕組みを整え、AIが自律的に動いても逸脱しない環境を作ります。目標を与えれば自ら計画し実行する自律型AIを実務で使うには、この足場が不可欠です。
第四の段階が「ループ」です。人間が作業の輪の中に入り逐一確認するHITL(Human in the Loop)から、AIに実行を委ね、人間は外側から監督するHOTL(Human on the Loop)への移行を実装する段階です。ハーネスが整っているからこそ、人間は個々の作業から離れ、仕組み全体の監督者として振る舞えるようになります。
AIの能力が高まるほど、人間がすべての工程に介在することは、安全装置であると同時にボトルネックにもなります。だからこそいま、HOTLの重要性が拡大しているのです。ただしそれは、人間の責任が軽くなることを意味しません。制約を設計し、逸脱を検知し、最終的な結果を引き受ける役割は、むしろ重みを増します。
つまり、これからのAI活用とは、頼み方を磨くことではなく、関わり方を外側へ広げ、仕事の仕組みごと作り直すことなのです。
【募集開始】ITソリューション塾・第53期
10月7日(水)開講
AI時代を生き抜くための最新ITトレンドとビジネスの常識を手に入れる
「AIをどう使えばいいのか?」
いまなお、この問いに留まっているとすれば、AIの本質は、まだ見えていないのかもしれません。
18世紀後半の産業革命、20世紀半ばのIT革命。これらは、新しい技術が暮らしを便利にし、生産性を高めただけではありません。社会の仕組みや制度、働き方や雇用のかたち、ビジネスの常識、そして人々の生き方にまで及び、世の中を根底から変えてしまいました。
私たちはいま、AI革命の只中にいます。AIを数ある道具のひとつとして扱い、「どう使うか」を考えている限り、その真価を引き出すことはできないでしょう。問いは、すでに変わっています。
「AIで、ビジネスは、社会は、どう変わるのか?」
この問いに答えを持たないまま、システムを提案し、要件を定め、投資を判断する。それは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
ITソリューション塾は、2008年の開講以来、約5000人の卒業生を送り出し、今年で18年目を迎えます。ユーザー企業の情報システム部門やDX推進の担当者、IT企業の営業やエンジニア、経営に携わる方々。立場は違っても、「ITの現在地を体系的に掴みたい」という思いは同じです。
この塾では、技術の名前を並べて覚えるのではなく、その背後にある仕組みと潮流を読み解きます。AIやクラウド、アジャイルやDevOpsといった個々のテーマが、なぜいま重要なのか、互いにどうつながっているのか。そのつながりが見えたとき、ニュースの見え方も、お客様との会話も、明日の判断も変わります。講師は、第一線の現場で今まさに実践している人たちです。教科書にはない、生きた知見をお伝えします。
そして、最後にもうひとつの問いを、皆さんとともに考えたいと思います。
「AIで、自分をどう変えるのか?」
技術の変化を眺める側にいるのか、変化を起こす側に立つのか。10週間後、その答えを自分の言葉で語れるようになっていただくこと。それが、この塾の目指すところです。
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日程 初回 2026年10月7日(水)〜最終回 12月16日(水) 毎週18:30〜20:30
※11月10日(火)のみ火曜開催
回数 全10回+特別補講
定員 120名
会場 オンライン
料金 ¥90,000-(税込 ¥99,000)
全期間の参加費と資料・教材を含む
※詳細はこちらをご覧ください。
『AI実践ドリル30日チャレンジ 仕事にすぐ効くAI活用』(日経BP)を紹介する連載が、日経クロステック(xTECH)に掲載されました。
第1回 ビジネスパーソンが生成AIの有償版を使うべきである理由
第2回 「事業変革推進室長」として生成AIで新規事業を企画する
第3回 AIの「魔法」をメール作成と悩みの「壁打ち」で体感
第4回 新規事業の「3段階の自立シナリオ」をAIで描く
第5回 AIにいきなり「斬新なアイデア」を求めるのは避けよ
本書は、これまでのAI本とは毛色が異なり、新規事業開発やマーケティングの実践ノウハウを、AIを使いながら体験的に学べる「ドリル」です。
AIの使い方を解説するのではなく、実際のビジネスの現場でどう使いこなし、新しい価値を生み出せばいいのかを、手を動かしながら身につけていただけます。
「AIをどう使うか」に留まっている限り、AIの真価は引き出せません。「AIでどう変わるか」、すなわちAIを前提として、仕事のやり方をどう変えればいいのか。それをお伝えしたくて書いた本です。まだの方は、ぜひご一読ください。
どうぞよろしくお願いいたします。

