WindowsPhoneは反撃の狼煙。7を冠しなかった理由をよく考えてみよう
Windows Phone の発表でiPhoneと全面対決!というほうが世の中盛り上がるのだろうが、
冷静に考えて、新機種発表に冠してキャリアの主導力がまだまだ強い日本においてはデバイス用OSの発表が
世の中に与える影響は少ないだろう。「携帯電話」業界のキャリア>デバイス>ソフトウェアの階層構造は
そう簡単に崩せそうになさそうだ。
とはいえ、Windows Phoneの発表は今後のマイクロソフトの戦略を考える上で、非常に大きな意味合いを持つ。
毎度「ブログでの発言はあくまで個人的な…」というおきまりの逃げ口上を前提とした投稿で申し訳ないが、
今回の話は「あくまで個人的なものでありマイクロソフトの正式な見解ではない」と念を押しておきたい。
まず、今回のWindows Phoneで発表された内容をみてみよう。
- Windows Mobile 6.5 の提供(前のバージョンは6.1)
- Windows Phone へのブランド変更
- Market Place の発表(Mobile用)
- クラウド連携サービス My Phone の発表
- 海外での新機種発表
新バージョンOSの Mobile 6.5。機能を細かく見てみるのも楽しいが、ここでは
「なぜWindows Mobile 7にしなかったのか?」を皆さんに考えてみていただきたい。
開発者を筆頭に一般ユーザーも含め市場からの評価の高い Windows7 にちなんで、7でそろえる方が
自然な発想でろうが7にしていない。あるいは、「6.1のマイナーチェンジなら6.2だろう」という
見方もあるかもしれないが、6.5と番号がとんでいるのは単なるマイナーチェンジではないことを主張している。
この領域は外で言ってはいけないこと満載であるし、チョイだしするだけでも様々な憶測を呼ぶことに
なると思うので、ここではWindows Mobile 7(仮)の発表を楽しみにしていただきたいとだけ言っておく。
Windows Mobileでこうなったらいいな、という機能の多くはおそらく対応してくると思われる。
6.5はそのための布石、階段を駆け上がるために必要な、踊り場的存在なのである。
特に開発者やビジネスユーザーの方々には、来るべき7の到来に備え、6.5で心の準備をしておいてもらいたい。
クラウド連携サービス MyPhone は、Mobile Meのマイクロソフト版なのだが、後発だけあって工夫が
なされており、例えば、ビジネスユーザーが比較的多いことから、紛失対策機能を追加することもでき、
地図上に所在地を表示したり、リモートでデータを消去したり、オフにしていても着信音を鳴らすこと
などもオプションでできるようになっている。単に写真や連絡先などのユーザーデータを同期するだけでなく、
さまざまな同期、プッシュテクノロジを組み込もうとしている。
また、今回提供開始されるMarket PlaceはWindows Mobileユーザー用のApp Storeみたいなものだが、
これをiPhone対抗の世界観でみるのと、(たまたまMobile用からはじめた)アプリケーション流通の仕組み
とみるのとで、今後のワクワク感が変わってくるのではなかろうか。Azureのようなクラウドサービスに
対応したアプリケーションが面倒なインストール作業なく購入、稼働させられればステキだ。
おそらく利便性があがるかもしれないというだけの利用者目線より、これで正解を相手にビジネスできる
という開発者の人たちの方が、ワクワク度が高いだろう。
もし、開発者のみなさんがマイクロソフトの宣伝効果的な後押しを期待するのなら、クラウド側のAzureと
Windows Mobile側で連動して動くサービス、アプリケーションの企画・開発に注力することをお勧めする。
GoogleがANDROIDに熱心なのと同じ理由だ。クラウドの価値はPC以外のデバイスの力を得てさらに高まる
ということを実証できるようなアイディアがあれば、是非全面的にバックアップさせていただきたい。
Mobile7の頃には、クラウド・デバイス連携のシナリオが注目を集める、かもしれない。
最後に日本で残念なのが、デバイスの互換性の問題である。もっというと、SIMロックの制約だ。
関係者の方には、気を悪くしないでいただきたいのだが、地域もキャリアも乗り越えて好きなデバイスを
好きなように使えるようにして欲しいものだ。海外からの出張者、旅行者なら使ってもよいのに日本人が
使うと電波法違反だなんだというのもなんだかもうちょっとナンセンス、と思われている方は少なくないだろう。
HTCやSamsungがステキな端末を出しているのに日本では入手しにくい&使えないのは残念だ。
iPhoneのおかげでスマートフォンの使い方が一部ギークから一般の人々にもようやく広まりつつある昨今、
キャリア>デバイス>ソフトウェア
から、
ソフトウェア>デバイス>キャリア
の力関係に早くなってもらいたいと切に願う。あくまで個人的に。
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クラウド戦線でもモバイル戦線でも、連邦軍のドクトリンは変わらない。
チェンバロ作戦でソーラシステムや量産に成功した空間戦闘用のジム部隊を戦線に投入するにあたり、
第13独立部隊(ホワイトベース)を展開させてきたように、一見、一気呵成に物量で攻めているだけの
ように見られがちだが、そのための準備を周到に行っているのである。