クラウドファンディングで読みたい本を応援する「PUBSLUSH」(海外)と「Yomuca」(国内)
みなさんは、読書が好きですか。読書の世界には、ベストセラーはもちろん、小説や雑誌、ビジネス本、、、いろいろと種類がありますよね。でも、書いているのはプロの作家ばかり。もっと身近な人や面白い人の頭の中にある物語やアイデアが実際に「本」になったら面白いと思いませんか。今回は、そんな誰でも本のコンテンツのアイデアやプロットを投稿でき、色んな人から応援されることで出版へのプロセスを進むことができる、そんなサービスを2つ紹介します。1つは海外、もう1つは国内のクラウドファンディングサービスです。
1. 【PUBSLUSH】(海外)
「PUBSLUSH」では、利用者の方が読みたい本を選び、支援することができます。New Yorkを拠点としているこのサービスでは、本を応援する仕組みに加えて、チャリティへの工夫もなされています。それは、1冊本が売れるたびに、1冊を途上国の子供に寄付することです。
「PUBSLUSH」の創設者Jesse Potashによれば、「与えること」に焦点を当てた出版サービスであるとのこと。
本の著者は、ウェブサイトに10ページをシェア、要約を載せるチャンスが与えられます。そうすることで、本好きの人たちは、「本当に読みたいもの」を応援することができます。
応援したい本が見つかった人(読者)は、10、20、200、そして500ドルの中から、投資額を選べることになっています。そして、本のプレビューページにコメントを投稿できたり、Facebookで本の抜粋をシェアすることもできます。
自分の投資した本が出版されると、その額に合わせて、電子版・紙媒体、また表紙に献呈の言葉が書かれた版をもらうことができます。応援者は、1000人の応援者が集まった時のみ、約束(投資額)は守らなければなりませんが、それ以外の時では、いつでも取り下げることができます。
「PUBSLUSH」によれば、 著者は従来の出版より、誠実な読者に出会え、作品に関しての著作権も帰属するとのこと。また、「PUBSLUSH」は、低識字率という問題にターゲットを絞ったチャリティ基金のプロジェクトも立ち上げています。そのプロジェクトでは、「PUBSLUSH」を通じて出版された書籍が1冊売れるたびに、途上国の子どもたちに1冊本を寄付するというものです。
下の動画もぜひ!
動画にもありましたが、世界中の本にアクセスできない子どもたちに、PUBSLUSHを通じて出版された書籍の売り上げから、寄付金が届く仕組みになっています。
自分が読みたい本を応援して、購入して、さらにそのお金が社会的に消費されるって素敵ですね。
ちなみに、このPUBSLUSHの中で1番資金調達していたのが、Janna Mさんの「He Never Liked Cake」というノンフィクション小説。中身を少し読めるので、ぜひ。
現在59%(額ではなく、1000人集めるというもの!!)、サポーターが583名でした。
10ドルで、電子書籍版がもらえ、20ドルで第1版と電子書籍。
100ドルで原稿のコピー版と第1版と電子書籍、200ドルでそれに加えてサイン入りのもの。
500ドルで、第1版と電子書籍、そしてなんと本の表紙に献呈文の付いた版がいただけます。
「PUBSLUSH」は、すべての人に本を出版する機会を「与え」、読みたい本を読む機会を「与え」、途上国の子どもたちに本を「与え」る。とても素晴らしいコンセプトの上に成り立っているサービスだと思いました。
2. 【Yomuca】(国内)
「Yomuca」は、著者のスタートダッシュを読者が盛り上げる電子書籍公開支援サイトです。
「Yomuca」の素敵なポイントとして、クリエイターと支援者(読者)を電子書籍の製作段階から結びつけているということが挙げられます。
プロセスとしては、クリエイターは自分の作りたい本のプロット(書籍のアイデア・企画)を投稿し、読者は面白いと思ったプロットに支援【FT(1FT=50円)ポイント】をつけて支援することができます。FTポイントが目標額に達することで書籍が制作され、支援者は無料でその電子書籍を読むことができるという流れ。
アイデア例:「クルマとスマホを持たない生活(30~50ページ)」、「試験に出る民主党(100ページ)」、「ドット×仏像(10~12ページ)」などエッジの利いたアイデアばかりで面白いです。
「Yomuca」では、現在、「公開記念!プロットを投稿して目指せ大賞」を実施中で、応募は7月31日まで受付しているとのこと。プロットを投稿し、一番ダウンロードが多い作者に10万円が授与されます。ぜひ投稿して盛り上げてみてはいかがでしょうか。
今回紹介したサービスはどちらも電子書籍にし、コストを下げることで誰でも気軽にプロットを投稿して、自分の書きたい、誰かに読んでほしい作品をつくることができます。また、クラウドファンディングの形式では、読者からのフィードバックが早く、可視化されるのも、実現されるのも早いのは利点であると思います。こういうライトな出版文化はこれからもっと出てきて、いろんな人の頭の中のものが応援されるようなそんな世界も少しずつ生まれていってほしいです。
【登場したサービス】
■PUBSLUSH:http://www.pubslush.com/
■Yomuca:http://yomuca.com/