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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

20周年を迎えた話

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AS/400というコンピュータが発表・出荷開始されてからこの6月で満20年になる、ということで、その記念イベントが先日渋谷にて開催されたので顔を出してきた。その他大勢の一人ということならば気楽なのだが、一応これでもエバンジェリスト(エバンゲリオンみたいだ)の端くれということになっているので、メイン・セッションのプログラムの一つとして一席ぶってくる役回りが与えられたのである。要するに最新の製品の姿や将来性を、皆の前で世間に訴えろというわけだ。

年のせいでずうずうしくなってきた為か、回数を重ねてきたせいか、最近は人前で話すのにあまり緊張を感じない。下手をするとダランとした意識のままで人前に出てしまいそうなので、むしろ意識的に緊張感を高めるように心がけることもある。だけど人数の多さもさることながら、ちょいとした音楽と共に暗めの照明の中で壇上に上がってスポットライトを浴びてしまうと、最初の言葉の切り出し方に迷ってしまう。おおっ珍しく緊張しているな、などと壇上で実は呑気に思っているのだが、言葉が見つからなくて黙り込んでいるわけにもいかない。予め考えておいた最初の言葉を何とか無理やり搾り出すことができれば、あとは惰性で最後まで一気にしゃべりまくればよい。

製品の名前がコロコロと変わってきたことに対する世間の見方は様々だと思うが、このAS/400というコンピュータの持つ性格が非常にユニークであることは事実だろう。20年間変わらずに維持し続けている機能や特徴がある一方で、大きく変わったこともある。一般的にコンピュータなどに代表される技術に対しては、変化や進化することのみに価値を見出す傾向があるように思うが、ある特質を変わらずに維持し続けることも、それはそれなりに驚異的なことなのだ。てな具合のことを、最初にAS/400のアーキテクチャーを設計した人間が話し、続いて僕がもう少し細かく語ったのである。

このアーキテクチャーを設計した人間は、就職してから今年11月で40年経つのだそうだ。日本だとなかなか考えられないが、アメリカでは定年がないので、やる気と体力さえあれば、いくらでも働き続けることができる。アメリカ大統領候補の共和党のマケイン上院議員だって自分よりずっと年上の71歳なんだから、まだ十分にやれるはずだと豪語していた。

20周年記念イベントというのは、言ってしまえばこれまでにAS/400に関与していた人のための同窓会みたいなものだ。僕は都合で最後までいられなかったけれど、聞くところによると関係者の間では異様に盛り上がっていたらしい。参加者の情緒に訴えるという意味ではうまくいったに違いない。イベントの究極的な目的はビジネス、ということにこだわっている人にとっては、どうだったかわからないけれど。ま、たまにはいいんじゃないかなぁ。

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