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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

家庭内のマーケティング活動

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運動会のシーズンが来るとわくわくする。別に家族参加のプログラムで全力疾走してやろうなどと考えているわけではない。前日になるといそいそと、三脚や望遠レンズなどのデジタル一眼レフカメラ一式を机の上に並べて、運動会向けの機器の整備にとりかかる。カメラの持つ性能をどこまで引き出せるのかを試すのが楽しみなのだ。秒速5コマの連写能力に動体予測機能を備えたオートフォーカスで、どこまで被写体を追えるのかを試すチャンスがやってきたというわけだ。

もともと僕は機械いじりが好きな性質なので、デジタル一眼レフが登場した頃から買いたいと妻に訴えていた。それまではコンパクトカメラが我が家唯一のカメラだったので、その性能に不満があった。だからと言って、レンズを含めるとおいそれと手が出る投資額ではない。最初に提案した時の妻の反応は、「私が使えない」という一蹴であった。

いや僕が使うんだから「私」は使ってくれなくても、いやむしろ使ってくれない方がよいのだけれど、と思ったのだが、わざわざ投資をしてまでコンパクトカメラからデジタル一眼レフに乗り換える理由を明確に説明することができない。レンズの違いとかデジタルカメラの使い勝手のよさとかを説明しても、「で、要するに今のコンパクトカメラだって同じことができるじゃない」で先に進めない。こういう時は、機械オンチは性質が悪い。

事態が急転したのはご近所さんがくれた娘の写真がきっかけである。実は同様の写真を家のコンパクトカメラでも撮影していたのであるが、素人目にも出来の違いは明白であった。娘がしっかりと写っていただけでなく、背景がきれいにボケていたので、写真から浮き上がるように見える。コンパクトカメラのべたっとした感じとは大違いである。機械オンチを説得するには、素人にもわかるような比較をするのが一番だ。写真を比較することで、やっと妻も投資に同意してくれるに至った次第である。条件は望遠撮影ができること、というものであった。

機械オンチのメリットは、性能とそれに対する対価の感覚がないことである。総投資額を申請し、何となくそんなものだということを受け入れてもらい、ようやく必要な機材を手に入れた。その投資額だけでどうにかするとデジタル一眼レフが買えてしまうような望遠レンズも含まれている。さすがに気が咎めたので投資は控え目にしたつもりである。最初に申請をあげてから、数年後のことであった。

カメラの性能にはまあまあ満足している。受光部の面積がAPS-Cサイズと小さめなので背景のボケが今一つとか、広角側のレンズが足りないとか、言い出したら際限がない。最近はどちらかと言うと、JBLのフロアスタンドのスピーカーで、アートペッパー(ジャズ・プレーヤー)のアルトなんかを鳴らしたらすごいだろうなぁ、と気になっているのだが、こっちの方はもう少し戦略をよく練る必要がありそうだ。

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