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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

高い所が好き

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飛行機が怖いくせに、山に登るのは好きである。地に足がついているという安心感からなのか、高いところから周囲を見渡すのは爽快だと思っている。つい忙しさにかまけて最近は機会がほとんどなくなってしまっていたが、ふと思い立って連休中に家族で高尾山に行ってきた。娘に今までとは少し違うアウトドアの経験をさせようと思いつつ、子供との付き合いという名目のもと、たまには妻を自分の趣味に付き合わせようという魂胆があったことも事実である。何せ妻は海派なのだから。

高尾山は東京近郊の住人ならば誰もが一度は訪れる山であろう。実は僕が始めて山と名の付くところに登ったのが高尾山で、それ以来二度目になる。大分昔のことだったので、当時の様子など全く記憶がない。ただせっかく山歩きに来たのに乗り物に頼るのは目的に反するので、歩いて登ると楽しいから、というわけのわからぬ理屈を並べて(正確に表現すると、騙して)、かつて僕がそうしたのと同様に、京王線の高尾山口から歩くことにした。起点の標高が199メートルで、山頂が599メートルなので、標高差は400メートルになる。まあ、たとえ娘の足が動かなくなったとしても、このくらいなら背負ってでも登りきることはできそうだと、無謀な皮算用を弾いた次第である。かつては重い荷物を背負って、アルプスの急坂をゆっくりと1時間歩いて、300メートルの標高差を上がれたと言ったら、今の体力を考えろと妻にたしなめられた。

乗り物にも乗らない酔狂な人間は少ないだろうと思いきや、登山道は人の列である。今時山歩きなどシルバー世代の専売特許であるかのように聞くが、実際には家族連れや若者のグループも数多い。中には愛犬を伴って山頂付近を闊歩していたり、スカート姿で歩き回っている人もいる。低山とは言え山歩きのつもりだったのであるが、必ずしもそういう心がけの場所ではなさそうだ。

そこに山があるから登るのだ、という答えはとっさの思いつきだとよく言われている。僕も山歩きの理由を考えたことはない。ただ楽しいから登っていたというのが正直な感想である。登りきった後の絶景に触れることが楽しみであり、それなりに達成感を感じられるから登っていた。そして今回は家族に「そんなことをやってみるのも面白いよ」と言ってみたかった。しかしながら、関心を持っていない人に向けて、いくらその価値を訴えてもダメな実例となったようだ。娘はともかく、どうも妻に関して思惑は不成功に終わったような気がする。かなりきつかったので、次回は留守番をしていたいそうだ。

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