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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

プリマドンナへの道

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娘にバレエを習わせている。ちなみに「バレー」は球技で、「バレエ」だと舞台芸術と区別するらしい。動機など単純なもので、赤ん坊の頃から「お遊戯」が好きだったし、友達も始めたので当人も「やりたい」と言っているし、ついでだから少し習わせてみるか、と思った程度に過ぎない。両親とも経験があるわけではないので、どこでどういう風に習わせようなどというイメージは全くない。どうせ長続きしないだろうけれども、せっかくバレエというものに少しは関わったということが記憶に残ればよいだろうと思ったので、雰囲気だけでも本格的なクラシック・バレエにしようと今いる教室に通いだしたのが4年前である。

昨今の子供向けの習い事教室には、無料体験とか無料見学が可能なところが多い。せっかくだし、バレエなるものを生で見てみたかったので、僕自身も妻子と共に教室選定のために何ヶ所か見て回った。バレリーナなる人種を間近で目にすることなんぞまずないので、興味があったのも事実である。女性タレントを生で見てみたいと言うのと大した違いはない。そこではずぶの素人が「本物」を見極めようとしていたわけであるが、持っていた基準はいたく単純で、先生が美しいこと、というものであった。

美しい基準も様々であろうが、まず見た目がバレリーナらしからぬスタイルをした先生の教室は除外した。まがりなりにもプロであるわけだから、日常の心がけや節制が行き届かない人に習わせるのは止めようと思った。じっとしていても、バレリーナとしてのオーラが感じられるような人が望ましい。そういう人は、事前の柔軟体操一つをとっても、動き始めると周囲の雰囲気が華やぐようであった。踊っている様子は実に柔らか味を感じるし、何とも言えない表現力がある。見学に行った帰りに、どこそこの教室の先生とは随分違うね、などと妻と話したものだ。そして無謀にも本格派狙いなので、ごくごく基礎的な動きからみっちりと仕込む教室を最終的に選択した。

バレエを習うとスタイルがよくなるでしょう、と周囲から言われたことがある。いや、スタイルがよくなるのではなくて、スタイルの悪い人はバレエに合わないとあきらめていくので、結果的にスタイルがよい人が残るのだ、と答えていた。しかし上の学年の生徒を見ていると、顔を上げる、手足を伸ばす、腹を引き締める、つま先で歩く、といったことを何年も続けていると違ってくるのかもしれないと思えてくる。娘の教室には若い先生の他に、重鎮のような年配の先生がいて、この方がまた非常に厳しく基礎を叩き込んでいる。娘にはいつ教室を辞めても良いよと言ってあるのだが、かえってそう言うと長続きするものらしい。発表会の参加費が高いので無理してくれなくてもよいのだけど、実は最近はバレエを見ていて「ほお~」と思ったりもするのである。

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