進展するスマート革命、スターバックスとスクエアの「スマートストア決済業務提携」を支えるGeoFence技術
<序文>
コーヒーチェーン店で有名なスターバックスとモバイル決済で革新的なサービスを生み出したスクエアの業務提携が発表され、注目されています。
スターバックスは将来のモバイル決済を見越して、スクエアに出資し、まずはこの秋のホリデーシーズンから全米7000店で部分的に展開すると発表し、その後スクエア側の準備が整えばグローバル展開する事を示唆しています。
スターバックスの現在の顧客ロイヤリティプログラムなどにスクエアのシステムを合わせるようですが、WiFiネットワークを他社に先駆けて設置し、ウオールストリート誌の店購読を無料化した、スマートストアの先進サービスを誇るスターバックスの決断故、グーグルウオレットなどNFCに傾いていたスマート機器による決済の流れを新しい方向に一挙に決定付けるかもしれません。
そしてスターバックスがスクエアのサービスの特徴は、GeoFence技術に支えられています。
★★ Geo-fence
ジオフェンスの事例
<出所:WIKI>
★★ StarbucksとSquareが大規模提携 全米7000店舗でモバイル決済システムを採用
ジオフェンシングのイメージ
<出所:マシャブル>
square (スクエアの公式サイト)
<GeoFence技術>
GeoFence技術とはロケーションサービスの一環で注目されています。例えば幼稚園をGeoFence(一定の領域)に指定すれば子供が幼稚園を離れたら子供のスマートフォン(location-aware device)の動きを認識して、クラウドサービス(location-based service)から親のタブレットに自動的に通知が行きます。最寄りの駅をGeoFenceに指定すれば、子供が駅に着いたら通知が来ます。一定の地域を限定して、そこに出入りする都度、関連者に通知が届くようなサービスを意味します。
2011年にアップルのIOS5に実装され始め、アンドロイドも含めて一挙に米国中に活用アプリとサービスが広がり始めました。企業によってはオフィスをGeoFence(一定の領域)に指定して、社員の出退勤管理をGeoFence技術を活用したアプリで実施しているそうです。
そして米国の小売業が決済や顧客の店舗への誘導、顧客のロイヤリティプログラム開発に活用し始めています。その優れたサービスとアプリが注目を集めているのがツイッターの共同創業者のジャックドーシーさんが開発したスクエアでした。
GeoFence技術は店舗にWiFiネットワークが無くても活用出来ますが、スターバックスのように店内のWiFiネットワークが充実すれば、更にサービスが洗練されるでしょう。
<スクエアやアップルストアの手法>
スクエアの場合、クレジットカードやデビットカードを登録すると対応するスマートフォンのアプリをオンにして持ち歩くだけで、手ぶら決済が出来ます。あたかもスマートフォンで撮影してドロップボックスに置いた記念写真がいつの間にか自宅のスマートテレビに表示されているように、全てがマジックのように自動で処理されます。アプリはまず生活者が歩いている道の両側のスクエア加盟店が表示され、セールのプロモーション通知や割り引き券が飛んできてお店に誘導します。
お店にチェックイン(自動)するとお店のGeoFence(一定の領域)内に侵入したため挨拶の通知がきます。一方レジにあるiPadの店員には顧客の顔写真と名前、取引履歴、クレジットカード番号が表示されます。顧客が表品を選ぶとレジの店員がレジにあるiPadをタップして、レシートがスマートフォンに飛んでお終いです。
一方アップルストアのGeoFenceのサービスでは、自宅のネットから注文した顧客が15分後商品を取りにくれば、レジのiPadがチェックインを認識して、入口まで商品を店員が持ってきます。店の棚で商品をiPhoneでスキャンすれば、商品が仮想のカートに入り、それをタップすれば決済は終わりです。通知がお店側に行く為、顧客は商品を持って何も言わずにお店から離れます。
<サービス支配論理から見て時代遅れの単純なNFC>
こう言ったGeoFenceのサービスと単純なグーグルウオレットのNFCや国内で礼賛されているお財布携帯を比較すれば、グーグルウオレットのNFCやお財布携帯は「お金をモノとして捉えている、モノ支配論理」から抜け出していないと言う気がします。パスモやスイカと同様、お金が機器の中に物理的に入っている感覚です。
一方GeoFenceのサービスはアップルストアのものもスクエアのものもサービス支配論理の色彩が色濃いです。
<GeoFenceによる決済サービスが普及するだろう>
スクエアのサービスにはスマート革命の高度な要素が多数入っています。
スマート機器同士の対話(M2M)やクラウドサービス、そして魔法のような決済サービスがそれにあたります。ガラケーと共に栄えたお財布携帯は早晩、滅びるかもしれません。