米議会、YouTube に専用チャンネルを開設
政治の世界でも WEB2.0 テクノロジーが活用されつつあるというのは、もはや驚きでも何でもありませんが。今回、米国の上院・下院が YouTube に公式チャンネルを開設したそうです:
■ YouTube.gov: U.S. Congress Comes to YouTube (ReadWriteWeb)
■ YouTube Teams With Congress to Show Lawmakers at Work (New York Times)
ちなみに公式チャネルへのリンクは、上院(Senate)がこちらで、下院(Representatives)がこちら。まだどちらも少ししか投稿が行われていませんが、今後議会内での発言の様子や、議会の裏側を紹介する動画がアップされるとのこと。また両院ともトップページには Google Maps が表示されており、個々の州を選択することによって、各州の選出議員の個別チャンネルを(その議員がチャンネルを開設していれば)表示&ジャンプすることが可能になっています。ちなみに以下のスクリーンショットは、下院でマサチューセッツ州を選択してみたところ:
こうして見ると、米国は政治家によるネット活用が進んでいるとはいえ、まだまだ公式チャネルを YouTube 上に設けていない議員も多いことが分かります。ただこういう形で一覧できるようになれば、「ああ、あの州の議員はまだ準備していないのだな」ということが一目瞭然になり、政治家が情報開示することへの圧力になっていくかもしれません。
今回の動きは、「単にテレビ中継がネット中継に置き換わっただけのこと」と捉えることも可能でしょう。実際、ReadWriteWeb でも指摘されている通り、公式チャンネルがあってもコメント欄を閉じてしまっている議員が存在しています。これではまさに、ブラウン管(という表現も古いですが)がモニタに代わっただけであり、政治のあり方に対してさほどインパクトを与えないのではないかと思います。
しかし YouTube は、単にネット上で動画が見れるサイトだから流行したわけではありません。その特徴の1つは、個々のコンテンツ=動画を素材として扱えること、すなわちエンベッドという形でネット上の様々な場所で流通・加工するのを可能にしたことです。議会公式チャネルの設置により、「政治コンテンツの素材化」が進めば……例えばある議員の発言のブレを、YouTube 上にアップされている動画を組み合わせることで指摘したり、逆にまったく注目されていない議員の優れた発言を、有力ブログが取り上げることで評価が高まるなどといったことが起きるのではないでしょうか。
その意味で、これから予想もつかない形で「議会 YouTube」をマッシュアップするサイトが登場することを期待しています。今回のニュースはそのきっかけに過ぎなかった、という位置付けになると面白いのですが。