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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

アンネ・フランクより少しだけ幸運だった人の話

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親友夫妻の娘さん。私たちの結婚披露宴の会場となったその親友宅を、自作のリボンで飾ってくれたっけ。先日彼女の誕生日のお祝いに呼ばれたのだが、そこでは思いがけず彼女の祖父のEさんといろいろ話す機会が持てた。

Eさんが、ドイツで生まれたユダヤ人だということは知っていた。いつアメリカに来られたのですか?

「私はベルリンで生まれたんだが、その頃のことはあまり覚えていないんだよ。まだ小さな子供だった頃、ヒトラーが首相になる直前に、一家でオランダに引っ越したんだ。今から思えば間一髪だったね。」

「その後、ドイツが占領する直前に、オランダを脱出してアメリカに渡ったんだよ。私の父はよっぽど勘が働いたようだ。」「いや、彼から言わせると、危険なのはあまりに明らかなのに、多くの人がそれを認めようとしていなかった、というんだよ。」

数学教授として長年University of Washingtonで教鞭を取っていたEさん。若い頃、プリンストン大学にアインシュタインを訪ねた時のエピソードも、懐かしそうに話してくれた。

後から振り返ってみると明白だったことも、渦中にいるとなかなか見えない。きわどいところで一家の生命を救ったEさんのお父さんのような鋭い感覚は、変化の激しい現在ますます重要なのだろうけれど、どうやって磨けばいいのだろう?

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