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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

働き方改革と自己啓発のはざまに。

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働き方改革、いいんです。基本的な考え方は。

上司に気兼ねして帰れないなんてナンセンス。

8時間で終わらない業務量が何か月も続くなんて、マネジメントがなんとかしたほうがよい。

子育てしながら仕事している家庭の負担は、主に女性が担っている、というのも変な話。

いろいろ変えたほうがいい「昭和」の価値観があるのは確かだし、多いにアグリーです。

しかし、一方でひずみが出てきているなと思わなくもない。

こんな話を聴きます。

「会社のほうが、いろいろおもちゃ(ネットワーク環境とかソフトウェアとか機材とか)があるから、会社で勉強したいんですよね。勤務時間にカウントしてもらわなくていいから、技術力を高めたり、自分の関心事を試したりしたいので、タイムカードは先に押して、勉強していこうとすると・・・。タイムカードの打刻とログアウト時間に20分以上のかい離があると、上司のところに通報が来ちゃうんで・・。仕方なく帰らなきゃいけない」

・・・・

「仕事のために勉強する」というのであれば、勤務時間内に取るのは筋でしょうが、エンジニアなんど専門性のある仕事をしていると、今仕事に直接関係ないけど、調べみたいとか、将来に備えて試してみたい、とか、仕事と言い切れない部分での自学自習があると思うのですよね。

家でできない(環境的に)ものを会社という環境で行ってみたい。

だけれど、帰れと言われる。

本を読むといったことであれば、家でも通勤電車内でもできますが、機材などを使って試したい、検証したい、といったことができない。定時に帰れ、と言われるから。

さらに、これは以前も書いたのだけれども、コンプライアンスとかセキュリティとか様々な縛りがあるので、「じゃあ、自宅に持ち帰っていいか」というと、それもできない。

PC持ち出し厳禁。

うーん、スキルアップしたいんだけど、思い切ったこと、できないんだよなーという悩みを抱える、向上心のある方が増えているような気がします。

会社に学ぶための資源があって、その会社の資源が個人では用意できないようなものである場合、やはり、会社で勉強したい、と思うのは至極自然だと思うのだけれども。

いろいろ悩ましいものです。

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ま、それにしても、

政府が言っているから、国から指導があったから、といって働き方改革だの女性活躍推進だのを急に検討し始め、取り組もうとするのって、「指示待ち症候群」と何が違うんでしょうね。

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