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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

売上にこだわって久々に1本書いてみました。

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「日本のブロードバンドはいったいぜんたい何をもたらしたのか」ということの周辺で相変わらずうろうろしております。

今日は色んな数字をちまちまと集めてみました。すべて簡単に手に入るものばかりです。

電通によると、2006年(以下もほとんどが同年)のインターネット広告費は3,630億円。雑誌広告費が3,887億円なので同規模と言ってよいです。
日本で消費者向けビジネスを行う広告クライアントが束になって3,630億円。これを多いと見るか少ないと見るか。
日本の総広告費は約6兆円です。うち6%がインターネット広告。テレビ広告はその5倍強の2兆161億円です。インターネット広告がテレビ広告の2割程度にまで育ったのだと受け止めれば、かなりでかいなぁと思えてくるはずです。

日本のインターネット企業を代表するYahoo! Japanの売上は2,125億円。同社はインターネット広告以外でも手広く事業を行っていて、広告売上は全体の4割に当る892億円です。さほど多くないようにも思えますが、日本のインターネット広告の1/4を同社が獲得していることになります。
以前の投稿で同社の従業員1人当りの指標(例えば1人当り営業利益)がものすごいということを書きましたが、それからするとシェアはもう少しあってもよいかというところ。ただし、同社の強さはオークション、ショッピングなどを万遍なく立ち上げて、それぞれが稼ぎの柱になっているところにあります。資源を広告事業以外にもバランスよく振り向けてきたということでしょうね。その結果として現在の高利益率があります。

同業に分類される楽天の売上もほぼ同水準の2,033億円。私が一番お世話になっているAmazonの日本法人はどうかと言うと、Amazonの世界売上の約10%が日本とのことですから、おおよそ1,200億円ぐらいです。楽天のコマース売上が350億円程度なので、Amazonジャパンの大きさがわかります。

インターネットを広義のメディアとして捉えると、同じくメディア企業であるテレビ業界上位3社の売上は次のようになっています。フジテレビ5,826億円、日本テレビ3,466億円、TBS3,180億円。いずれも連結です。Yahoo! Japanと楽天は肩を並べるほどではないにせよ、非常に健闘していることがわかります。
なお、日本のテレビ広告費2兆161億円は、出版界(書籍雑誌)の売上2兆1,525億円と同規模。

ブロードバンド関連の数字ということでは、接続費をはずすわけにはいきません。野村総研の推計によると、光、ADSL、ケーブルTVを合わせた接続費の市場は1兆961億円。さすがに1契約当り毎月3,000円~4,000円を支払うわけですから、合計するとでかいです。
これを上回るのが携帯電話のデータ収入。NTTドコモとKDDIのデータ収入を合計してみると約2兆円になります(ソフトバンクモバイルについてはデータ収入が割り出せませんでした)。日本の携帯電話データ通信はOECDのブロードバンドの定義下り256Kbpsを軽く超えているので、ブロードバンドとみなしていいでしょう(と無理くり)。
日本の世帯数は丸めると5,000万。ブロードバンド接続費と携帯電話データ料金の合計3兆円を全世帯で割ると1世帯が年間6万円を支払っていることになります。非常に高水準ですね。海外のデータとも比較したいところですが、時間がないため割愛。

冒頭に戻ると、日本のブロードバンドの周辺で、誰が誰に対してお金を支払っているのかということを素朴に考えてみると、企業が消費者に対して広告費という形でお金をたくさん使っているとはまだまだ言えず、むしろ消費者が毎月毎月通信費という形で支払っているお金の方ががぜん多いわけです。消費者支出は偉大です。塵も積もれば山となる。

関連するプレイヤーの動きを図で整理していて気づいたことが1つあります。利が厚いプレイヤーは、独占に近い構造を持っているということ(新規参入があまりない状況でビジネスを行っているということ)。市場を独占すれば利益が分厚くなるというのは、まぁ道理なわけですが、それが如実に出ます。携帯電話事業も競争政策が取られているとは言っても、やはり規制に守られたビジネスです。テレビ業界もそう。Yahoo! Japanの利益率の高さを見ると、自然独占に近い状況を作り出しているのでは…と思えることもあります。
B-to-Cの4.4兆円を別にすれば、日本のインターネットビジネスは広告主体で語られがちです。その広告売上が3,630億円。年々ものすごい勢いで成長しているとはいえ、規模としてはまだまだです。インターネットの中だけで何かをかきまぜるような発想ではなくて、消費者のリアルな支出をがっつりと取り込むような動きが、これからどんどん出てほしいと思います。持論を言えば、インターネットはまだまだ始まったばかりです。

自分はギャンブルは嫌いですが、数字のインパクトということで。パチンコ業界は年間30兆円の規模があるそうです。

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