オルタナティブ・ブログ > インフラコモンズ今泉の多方面ブログ >

株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

1日1,000ドル

»

故三石玲子さんとはさほど深く付き合ったというわけではないが、要所々々で非常にインパクトのあるコメントをいただいた。未だに鮮明によみがえってくる。

一度、ギャランティの話になった時に、「『1日1,000ドル』。そう言うようにしてるの」とおっしゃっていた。彼女いわく、1日10万円ではいささか生々しいし、「1,000ドル」と言った瞬間、相手は少しきょとんとして「は、はっ、そうですか…」とすごすご引き下がる雰囲気になるらしい。1997年頃の話である。

出版の世界ではギャラのことをあまり細かく言わない風潮がある。”書く”側がである。あえて踏み込んで確認してみると、だいたい予想とたがわない水準になっている。「自分はXXXXXの水準でやるようにしています」と書く側が切り出すと、たいてい角が立つ。

以前、多種多様な仕事を多方面から引き受けて高速回転していた時期に、「私はXXXXX以下ではお引き受けしません」と、事あるごとに主張していたら、その後だんだん仕事が少なくなり、縮小再生産に入っていったということがあった。価格は相互のやり取りで決まるものであって、一方の想いだけでなんとかなるものではない。

現在の自分の水準は長期契約を結ばせていただいていることもあり、三石さんと比較するとまぁ客観的にこのぐらいだろうという、ほどよい水準でやらせていただいているが、まずは事務所を持たないindependent cotractorとして妥当な水準というところ。事務所を持つindependent contractorが3件程度のクライアントを持ち、月に15日程度の稼動(毎日がフルに埋まる状況ではない)ということになると、三石さんの1日1,000ドルではおさまらないと思う。1,500ドルでは多い。1,200ドルぐらいか。

すごいところにはすごい人がいて、以前、とある老舗コンサルティング会社に在籍していた方が、「1日1,000ドル…。ずいぶん安いなぁ。自分なんか……」とおっしゃるので、確かめてみると、1日3,500ドルだった。無論、independent contractorがとる水準のお金ではなく、相応の法人の構えを持った企業が(小さくとも)、一定期間のコンサルティング契約を結んで、成果に関する規定もきちんと固めて携わる、そういう世界の報酬である。
この種のギャランティは相場がないようで、ある。相場に関する情報は双方が持っておくべきで、それに関しても情報収集の能力が不可欠だと思う。

Comment(0)