経営者や営業責任者の8割以上が、自社の営業チームが思ったように動かずに悩んでいます。リクルートでもっとも多くの営業チームを立ち上げ、5年連続でNo.1マネジャーの評価を得た著者が「売れるチームづくり」の極意を語ります。

上司は、部下を育てたくない?

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先日、知人と電話で話しているうちに、あることに気がつきました。

実は、私がコンサルに入った会社では、社長から現場をまかされていた責任者が辞めて
しまう、というケースが非常に多いんです。

「それは偶然じゃなくてですか?」

と聞き返してきたのはそのときの話し相手のKさん。

庄司 「最初はわたしも偶然だと思ってたんですけど、どうもね、
    ひとつのパターンになっているみたいなんですよ」


Kさん「へえ、それは面白いですね。なにか理由があるんでしょうね」

そこでKさんと話をするうちにその理由もハッキリ見えてきました。
というわけで今日はその話を書きます。


庄司 「辞めちゃう現場の責任者って、いつも怒ってばかりいるタイプの人
    なんですよ」
Kさん「売れるまで帰ってくるな! とか 売れない奴はゴミだ
    カスだ、みたいに部下を罵倒するタイプですか」
庄司 「そうそうそんな感じです」

肩書きが部長であれ課長であれマネジャーであれ、営業部門の責任者には
わりと多いスタイルです。わたしが営業コンサルに入ると,
このタイプの人はかなりの確率で辞めてしまいます。

Kさん「でも、庄司さんが入ることで、営業チームは成果が出るように
    なるわけですよね。なのにどうして辞めちゃうんですか?」
庄司 「そこがわたしも謎だったんですけど、どうやらですね・・・」


そう、ここが本題です。

どうやら・・・・・・

辞めてしまうタイプの現場の責任者は、じつは


   「会社の業績が悪いことはあまり気にしていない」

ことが多かったりするのです。

さらに誤解を恐れずに言うと

   「メンバーには育ってほしくない」


というのが本音のようなんです。

もちろん、本人も自覚してないことが多いので、本音というより、
深層心理とでも呼んだ方がいいのかもしれませんが・・・

Kさん「育ってほしくない! ですか・・・
    でも、育ってくれないと営業成績上がりませんよね?」
庄司 「そうなんですよ、でもね・・・」

実はこの話を考えるうちにわたしは


   社長と現場責任者の間には深い深い溝がある


ことに気がつきました。

簡単に言うと、社長は「会社の成長」を誰よりも深く考えていて、
業績が悪いことにはものすごい危機感を持っています。
それに対して、現場責任者はどうしても社長に比べると甘いです。
100倍ぐらい甘いのが普通です。

そして、「部下を怒ってばかりいるマネジャー」には、「売れること」
よりも「俺はエライんだぞ、上司なんだぞ、と力を誇示すること」が
目的になってしまっている人が多いんです。

Kさん「ああ・・・自分の居場所を確保することが一番大事になっちゃてる・・・」
庄司 「そうそう、それです、まさに」
Kさん「なるほど・・・部下が成長しちゃうと自分の居場所が
    なくなっちゃうんじゃないかと」
庄司 「そうなんです。しかもそれだけじゃなくて、自分が何の役にも
    立ってなかった、ということがばれてしまうんですよ」

部下に対して「売れない奴はゴミだカスだ」ぐらいの勢いで怒って
ばかりいたマネジャーです。

こういう人は実際には問題解決をやっていないんです。

営業における問題解決、というのは、
売るためのプロセスを明らかにして、
そのプロセスを具体的に進める方法を何通りも試してベストな
やり方を探し、見つけたやり方をチームで共有し、
プロセスの進捗を見える化して把握し、
その過程でぶつかるこまごました「これができない、あれができない」
という問題をひとつひとつ解決していく、そんな「作業」の連続です。

こういう問題解決を実際やるようになると、「怒」っても何の役にも
立ちません。

なので、本当の意味でのマネジメントが機能しだすと「怒鳴り声」は消えて無くなり、
みんながジョークを飛ばして笑いながら知恵を出し合って目標に向かう、
そんなチームができるようになります。

そしてそのほうが営業成績が上がる、
という現実が明らかになるにつれて・・・

Kさん「ああ、今まで怒鳴られてたのはなんだったんだろう、
    という気持ちになるでしょうね、みんな・・・」
庄司 「そうでしょ。元の上司は怒鳴ってばかりで実際に役に立つ
    マネジメントは何にもしてなかった、というのが見えちゃう
    わけですよ」
Kさん「ああ、それはキツイ。確かに辞めたくなるかも・・・」

そのときに、こういうやり方もあるのか、と学んで姿勢を切り替えて
くれればいいんですが、今まで部下に対して強圧的にプチ独裁者の
ように振る舞ってきた人には、なかなかその切替は難しいようです。

同じように「プチ独裁者」的振る舞いをしていたとしても、
社長の場合はそこが違います。

「社長」というのは会社の成長を素直に喜べる立場です。
今までと違うやり方で、社員が楽しく働けてしかも成果が上がる
ようになりました! と聞けば何のためらいもなく、よっしゃ
その調子でどんどん行こう! と言えるのが社長です。

ところが現場責任者というのはそうじゃありません。
部下に対してプチ独裁者的に振る舞ってきたマネジャーは、
社長に対しては

  「部下はまだまだ頼りないですが、
   私が叱咤激励して目標達成を目指しています」

といった形で体面を取り繕っています。

これが、崩れてしまうわけです。プチ独裁者から、
一番ダメだったのはお前じゃないか、という立場への転落です。

なかなかこの壁を越えるのは難しいようです。


つづく

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