経営者や営業責任者の8割以上が、自社の営業チームが思ったように動かずに悩んでいます。リクルートでもっとも多くの営業チームを立ち上げ、5年連続でNo.1マネジャーの評価を得た著者が「売れるチームづくり」の極意を語ります。

おっさんになったピーターパン

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1991年に公開された「フック」という映画があります。

 

おとなになって飛べなくなってしまったピーターパンの話で、タイトルのフックとはフック船長のことなのですが、わたしはこの映画が忘れられません。

 

監督はあのスピルバーグで、大のピーターパン好きなのだそうです。

キャストも演技派をそろえ、おっさんピーターをロビン・ウィリアムズ、フック船長をダスティン・ホフマン、そして妖精のティンカー・ベルを「プリティ・ウーマン」のジュリア・ロバーツが演じています。

 

かんたんにあらすじをお話しすると

永遠の少年だったはずのピーターパンが40歳になり、アメリカの企業付きの弁護士として猛烈な激務をこなしているという設定です。

仕事に熱中するあまり家庭を省みず、妻や長男との関係は冷え込んでいます。

 

そんな一家が祖母のウェンディのいるイギリスに里帰りした晩、子供たちが何者かに誘拐されてしまいます。誘拐犯が残した脅迫状には、なんとあのフック船長の名前が記してあったのです。

 

途方に暮れるピーターにウェンディは、あなたこそがかつてのピーターパンだったのだと告げます。

しかし、記憶を完全になくし、自分がピーターパンであったことなどすっかり忘れてしまっていたピーターは、にわかに信じることができません。

 

そこへ突然妖精のティンカー・ベルが現れ、さらわれた子供たちを救うために半ば強引にピーターをネバーランドへと連れていくのです。

 

ネバーランドに暮らす迷子たち(ロストボーイ)は、かつてのヒーローであるピーターパンが帰還したことを聞き大喜びしますが、目の前に現れたよれよれの中年男に落胆し、再びヒーローのピーターパンとして復活させるために特訓を始めるというストーリーです。

スピルバーグの映画としては地味な部類に入るかもしれませんが、わたしがこの映画を見たのがちょうど30歳をすぎたあたりのころで、そのときの自分の心理状態にものすごくマッチしたのでしょう、強烈に印象に残ったのです。

当時のわたしは、リクルート(一度め)をやめて自分で事業をはじめてはみたものの、うまくいかずに1年ちょっとで廃業し、その後、生活のために就職をした通信系の会社につとめて3年がたったころでした。

 

「おれはいつまでもサラリーマンなんかやってない、やりたいことをやるんだ」とイキがって独立したのに、世の中のきびしさと自分の未熟さだけを思い知らされ、生活のためになんとなく毎日を過ごしているような時期でした。

世間的にも"おじさん" と言われる30代に入り、自分がどんどん輝きを失くしていくように感じていたのだと思います。

 

飛べないピーターパンが、自分のことのように思えて仕方がなかったのです。

 この映画の中で、今でも忘れられない言葉があります。

 いくら特訓をしてもグチと言い訳をするばかりでいつまでたっても飛べるようにならないダメおやじのピーターに業を煮やした迷子が叫んだその言葉とは・・・

 

「ピーター!楽しいことを考えて!

楽しいことを考えると飛べるんだよ!」

 

それはまるで自分に言われているかのようでした。

 

"楽しいことを考える" 

 

わたしは、今まであたりまえだったそんな一番大事なことを忘れかけていたのです。

そのことに気づいたときのショックは体が小刻みに震えるほどでした。

 

子供たちが元気いっぱいでパワーに満ち溢れているのはいつも楽しいことを考えているからです。

 

なのに大人になるといつのまにか忘れてしまう。

楽しいことを考えるのはいけないことのように思ってしまう。

みんな飛べないピーターパンになってしまうのです。

 

大きな目標を成し遂げられるのは、つらいことに耐えるからではありません。

楽しいことを考えているから、きついことも平気で乗り越えられるのです。

それが仲間といっしょならなおさらです。

 

営業コンサルタントとして企業と関わっていると、飛べないピーターパンにたくさん遭遇します。

 

仕事はイヤイヤやるものではありません。

大きな力を発揮して、何かを成し遂げるために一番大事なことは楽しいことを考えることです。

 

"楽しいことを考えて"

 

わたしは、今でも飛べなくなりそうなときにはあの言葉を思い出すのです。

 

追記

 この原稿を書いているときに、なんとロビン・ウィルアムズさんが亡くなられたとのニュースが入ってきました。ご冥福をお祈りします。

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