経営者や営業責任者の8割以上が、自社の営業チームが思ったように動かずに悩んでいます。リクルートでもっとも多くの営業チームを立ち上げ、5年連続でNo.1マネジャーの評価を得た著者が「売れるチームづくり」の極意を語ります。

会社が民主主義じゃあうまく行かない理由とは? その2

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こんにちは。今年の後半はまったく釣りに行けず、禁断症状が出始めている営業コンサルタント、庄司充です。

 前回、「会社が民主主義じゃあうまく行かない理由とは」と題して、ワンマン社長の父の後を継ぐ二代目社長がしばしばはまり込む「民主的経営の罠」について書きました。
 中小企業の社長が社員を怒鳴りつけて動かす強権的なスタイルであることなんて珍しくないです。二代目がこれに反発するのもよくあるパターン。でもワンマン経営から脱しようとして「社員の自主性を重んじ、個の力を活かすマネジメント」を目指しても、これがそうそうカンタンじゃあない。

 ワンマン経営というのは一強他弱なもので、リーダーである社長だけがビジネス上の判断力を持っていて、他の社員には力がない場合がよくあります。ちなみにこれ、「権限がない」のではなく、「能力自体が鳴かず飛ばず」という意味です。

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 こういう状況じゃ、社長はうかつに「権限委譲」、英語で言えばエンパワーメントですか?なんてできません。とても無理な相談です。力がついてないので自由にやらせたらしくじる。だからうるさく指示命令して怒鳴りつける。その結果いつまでも「自分で判断」することができず、社員の力は伸びていかない。これぞ典型的な悪循環。

 「権限がない」のと「能力が伸びない」のは原因と結果の表裏一体のようなもので、社員がしくじってもしくじってもぐっとこらえて「成長を待つ」ぐらいの姿勢でかからないと、人材は育たないんですね。
 でも、それをやろうとすると、一時的に会社の業績は落ちます。


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 ガミガミ指示命令して社員を動かすと、とりあえず「社長の能力の限界」で会社が動きます。図中のAの赤線ですね。でも、ぐっとこらえて社員にまかせると、少なくとも一時的には図中Bの青線のレベルまで落ちてしまいます。これ、ものすごーく怖くないですか? 「このまま育たなかったらどうしよう・・・」そんな恐れが出てきたら、とてもこの状態は続けていられません。

 だから、なんとか「短期間で社員が育つ」工夫をしなければいけないわけです。その工夫なしに「個の力を活かす経営」なんて論外な夢物語。
 理想は、1人1人の社員の力を伸ばし、それがうまくかみ合った「チーム」にすることで、社長1人の能力の限界をはるかに超えた力を「チーム」が発揮できるようにすること。そうすれば、社長も社員も「笑ってお仕事」できるようになります。

 ではそのために何をしなければならないか。
 一言で言うと、「PDCAをまわせるような仕組みを作る」必要があります。

ここでPDCAなんていうと、「なんだよ、そんな話か そんなこと知ってるよ!」という声が聞こえてきそうですね。
確かに会社の経営をやっている人でPDCAという言葉を知らない人はいないでしょう。
そして、研究開発や製造工程のなかでは実際に行なわれていることも多いでしょう。

ところが!
こと営業ということになると、これがまったく実行されていない、わたしの経験からいうと、それは大手だろうが中小だろうが営業部門でPDCAを回している会社はほとんど見たことがないのです!

 ご存じのようにPDCAというのは一般的には計画(Plan)・行動(Do)・評価(Check)・改善(Act)の略なんですが、そんなわけで今回はちょっと違った形で説明しましょう。

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 たとえば、空気清浄機を売りに行ったら、繁華街のブティックで契約が取れたとしましょう。ここで、「売れたのはなぜだろう?」と考えて、「判断」する必要があります。そして、理由がわかったらすぐ次の「行動」を取り、その「結果」の中から有益な「情報」をつかんでまた次の「判断」をする。この繰り返しを短期間に何度も何度もやること、やれるように会社のしくみを作ることがポイントです。そこで私の主な役目はこの「しくみ作り」のコンサルティングをすることなのです。

 「しくみ」の話をもう少し書きましょう。
 「判断」するためには「情報」が必要です。「情報」と言ってもこれがなかなか難しいもので、「判断」のために必要な情報を、会社として組織全体でうまく集めて共有できるようなしくみを作れている会社って本当に少ないんです。
 たとえば先ほど挙げた「繁華街のブティックに空気清浄機が売れた」という例ですが、「売れた」こと自体は「結果」です。では、「なぜ売れたのか?」という理由を考えるために必要な「情報」とは何でしょうか?
 そのお店の年間売上? 利益率? 住所? 店主の性格? 取扱商品? 等々、関係のありそうな情報を挙げていくときりがないですね。きりがないので、「ええい、もういい、営業は足で稼ぐもんだ! とにかく数をこなせ! 電話かけまくれ! 強引にアポ取って訪問してこい!」と根性主義に走る会社が数知れず。
 でも、ダメなんですよ、それをやると。

 ちなみに、「繁華街のブティックに空気清浄機が売れた」一番大きな理由は何だったかというと、「交通量の多い通りに面しているため、自動ドアから吹き込むホコリが商品の衣料品に積もるので掃除が大変。ホコリを減らせる機械が欲しい」ということでした。これがわかれば、「交通量の多い道路沿いのブティック」が一気に有力なターゲットとして浮上します。こういうものが、「判断」に役立つ「情報」です。「売れた、売れない」という「結果」と、判断に役立つ「情報」の違い、わかりますか?

 人の力を伸ばすためには「こういう結果が出たのはなぜだろう?」と考えて「判断」する機会を増やさなければいけません。そして、考えるためには「情報」が必要なので、会社は役に立つ「情報」が集まるように、組織文化をつくり、情報共有のしくみを作る必要があります。
 これをやっておけば短時間で即戦力の人材が育つようになります。どれぐらい短時間かというと、私が営業チームのコンサルに入って行う場合の典型的なプロセスでは、

1ヶ月間、しくみづくりの準備をした後、
何も知らない派遣社員を雇って2日、研修をすれば、
3日目からは戦力になる

 ぐらいのスピードです。たった2日の研修で即戦力になるように、その前の1ヶ月で「チームがPDCAを回せるしくみ作り」をシャカリキになって準備するわけです。

 こういうことをやっておけば、「個の力を活かす経営」ができるようになります。1人1人の社員の力がうまくかみ合った「チーム」になると、社長1人の能力の限界をはるかに超えた力を発揮できるようになります。

 そんなチームができると、仕事は楽しくなりますよ~!!

 それでは、次回は「役に立つ「情報」が集まるように、組織文化をつくり、情報共有のしくみを作る」というところをもう少し詳しく書くことにしましょう。「ルール」から「判断」に引いた点線の意味もまたそこで書きますね。

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 私、庄司充は日夜、営業が苦手で困っている中小企業の営業チーム作りを通 してニッポンを元気にしようと励んでいます。そうです、これはニッポン復興の一環なのです。ついては、私がコンサルティングの現場で経験したさまざまな事 例が同じような営業の悩みを抱える会社に役に立つことを願って、過去の経験とアタマの中身をドーンと大公開 しています。(社長のための営業相談室http://ideacraft.jp/SP1/)
 この誠ブログでもその新着記事を紹介しますので、ぜひぜひここから売上アップのヒントをつかんでいってください!
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