経営者や営業責任者の8割以上が、自社の営業チームが思ったように動かずに悩んでいます。リクルートでもっとも多くの営業チームを立ち上げ、5年連続でNo.1マネジャーの評価を得た著者が「売れるチームづくり」の極意を語ります。

本当のPDCA、してますか?

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こんにちは。今年はなぜか、しばらく見ていなかった「紅白歌合戦」を見てみたくなっている営業コンサルタント、庄司充です。

 えっと、何の話でしたっけ。
 そうそう、PDCAをやりましょう、ということを書いてたんですよね。
 「PDCA」といえば前回も書きましたけど、計画(Plan)・行動(Do)・評価(Check)・改善(Act)の略だろう? んなこたあわかってるよ、と言われそうですね。
 でも、本当にPDCAしてますか?
 私はリクルートスタッフィング時代から営業アウトソーシング事業に携わってきて、要するに「売れない会社の営業チームを売れるようにする」コンサルをずっとやってきたわけですが、まともにPDCAをやってる会社なんてほとんど見たことがありません。

 たとえばある会社ではこんな相談を受けたことがありました。

 A社社長:法人顧客の新規開拓をしたいんですけどなかなかアポが取れないんですよ
 庄司:アポ取りですね、大変ですよね。なかなか取れないというと100件電話してどれぐらい取れてますか?
 A社社長:いやあ、よくわからんけど2件ぐらいかな? やっと取れてもなかなか商談まで持ち込めないですし・・・

 とまあこんな声を聞くことがよくあります。つまり、PDCAできてません。
 「よくわからんけど2件ぐらいかな?」という返事でそれがわかります。
 まともにPDCAができてたら、こんな答えにはならないはずなんです。

 いったい何が違うのか。比較のために、私がコンサルをしてPDCAのしくみを作った営業チームでアポ取りをする場合のよくあるシーンを紹介しましょう。

 この日は新しい営業チームが本格稼働する初日。
 チームメンバーは田中、佐藤、藤田の3人。
 朝9:00過ぎ、まずは3人で見込み客リストにアポ取りの電話をかけ始めます。
 1時間ほどたったところで小休止、3人を集め状況確認をします。


 庄司:はいありがとう。じゃこのへんでいったん集まってくれるかな。これで合計50件に電話してみたことになるよね。じゃ、それぞれ断られた理由の報告をお願いします。
 田中:理由Aが5件、Bが3件、Cが7件・・(以下略)でした
 佐藤:理由Aが・・・(以下略)でした
 藤田:理由Aが・・・(以下略)でした
 庄司:いいねいいねー。そうすると断られる理由として大きなものとしてはAの「他社のものを使っている」とCの「予算がない」だね。
 電話受付から担当者の聞き出しとつなぎのところは、8割以上うまくいっているから、AとCの理由で躊躇しているお客さまが、「一度話だけでも聞いてみるかな」と思ってくれるネタを再度強化すればアポの確率は上げられるかもしれないな。
電話の感触で、お客さまが一番興味を持ってくれそうなネタはなんだと思う?

 
 どうでしょう、わかりますか? どの理由で何件断られたかを必ずチェックするわけです。すると、それらの「理由」の中には、「この理由が出てきたらもう見込みないからすぐ打ち切った方がいいもの」もあれば、「この理由で断られるなら、実は有望な可能性があるので、断られないようにトークを工夫した方がいいもの」もあります。そして、どんな理由が出てきたかに応じて、テレアポで使うトークのシナリオをみんなで考え、工夫していきます。つまり

Plan:最初のテレアポトークスクリプトを考える
Do:電話をかけて「断られる理由」を探る
Check:「断られる理由」が集まったところでその内容を検証
Act:改善案を考える

 というPDCAをやっているんですね。
 初めての営業チームでテレアポを始めるときは必ずこの「テレアポトーク改善セッション」をすごい勢いでやります。すごい勢いってどのぐらいかというと、既に書いたような

一定の件数電話を掛けて、結果が出たら全員集まって結果を検証し
改善案を考える

 というサイクルを1日に何度もこなすぐらいです。
 だから、数日するとトークシナリオはバージョン10ぐらいになっちゃいます。
 そうやって、「自分たちが狙っている見込み客にドンピシャリにはまるトーク」を見つけるための努力をチーム全員で共有するので、電話を掛けてアポが取れる率もドンドン上がっていきます。その数字を必ず意識しているので、こういうPDCAをやっていたら、

「よくわからんけど2件ぐらいかな?」

 なんて返事は絶対ありえません。

「トークスクリプトVer.1では150件中1件でしたが、
ver.11では150件中5件まで上がりました」

 のように数字を緻密に把握しています。こういう、「数字を把握する」のは非常に大事なところで、私が営業チームを作る時は、

最後の結果として何件契約が取れたか、ではなく
営業プロセスの途中経過の各ステップごとに何件中何件クリアしていったか

 という「途中経過の行動件数と成功率」を必ず把握できるようにします。このために心血を注いで「しくみ」を作るんです。

 前回の最後に「役に立つ「情報」が集まるように、組織文化をつくり、情報共有のしくみを作る」と書いたのは、そういうことです。チームの全員が手分けして得た「断られる理由」という情報を全員で共有し、考え、出たアイデアをまた全員で試してどんどん改善していく、そんな「しくみ」と「組織文化」が必要なんです。

 いかがでしょうか。「本当のPDCA」の片鱗が少し、見えてきましたか?

 ちなみにこういう「本当のPDCA」をやれていない会社は、営業マンを「ルール」で縛ろうとします。たとえばそれは

営業は客先を訪問しろ
受話器を離さず電話しつづけるのが当然
今月のノルマは5000万円

 などなど、上司が部下をガミガミしかりつけるために都合がいいルールの場合が多いんです。こういうものは役に立ちません。必要なのは、「どうすれば売れるのか?」という工夫を営業チーム自身が考えられるようにすること。そのために、「全員で情報を共有し、アイデアを出し合っていい方法を考える」風土を作ることです。

 それができるようになれば、チームに一体感が生まれ、どんどんお互いが学びあって成長していくので、1人1人の「力」もどんどん向上していきます。
 「個の力を活かす経営」をするためには、まずはこういう仕掛けが必要なんです。

 少し、わかっていただけたでしょうか?

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 私、庄司充は日夜、営業が苦手で困っている中小企業の営業チーム作りを通 してニッポンを元気にしようと励んでいます。そうです、微力ながらこれもニッポン復興の一環だと思っています。ついては、私がコンサルティングの現場で経験したさまざまな事 例が同じような営業の悩みを抱える会社に役に立つことを願って、過去の経験とアタマの中身をドーンと大公開 しています。(社長のための営業相談室http://ideacraft.jp/SP1/)
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