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ノーモア菅直人政権、今急がれる専横政権再発防止策

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今、菅直人政権がやっと終わったと安心するべき時では無いと思います。ワイマールドイツじゃなく、戦後日本で、民主主義の顔をした独断専横政権が成立し、多くの議員の意思に反して何ヶ月も居座られ専横政治がされてしまったことを我々は教訓として心に刻むだけでなく、再発防止策を制度的に整備すべき時です。

菅直人政権という問題、それは、国民の信託を受けた選挙公約や個々に選ばれた議員の顔ぶれから想定される、政治のあり方とかけ離れた、側近政治を「脱官僚」という旗印を利用してやってしまったことです。これがアメリカ合衆国の大統領だったら、個人の資質や考え方など徹底的に晒され評価された結果なので、国民の委託の期待の結果として辻褄があっています。一方菅政権は、そんな期待を受けること無く、長すぎた自民党政権の二度目の終わりを期待して委託を受けた民主党政権。そこで選挙の洗礼を受けた党首から巡り合わせでトップを引き継いで生まれた総理大臣です。

菅直人氏、個人の思想信条や構想に賛同を受けるという手続きを経ていないのですから、最大公約数的合意形成優先の政治をとることが求められるわけですが、やったことは、官僚組織を信用せず、個人の人脈で登用した側近に左右されるという側近政治でした。

非常に個々人として素晴らしい方、例えば、原子力工学博士 田坂広志 多摩大学大学院教授 シンクタンク・ソフィアバンク代表 も登用されています。しかし、その結果なされたことは、例えば、

『自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」』
・菅直人 内閣総理大臣
・福山哲郎 内閣官房副長官
・田坂広志 内閣官房参与
・枝廣淳子 環境ジャーナリスト
・岡田武史 元サッカー日本代表監督
・小林武史 ap bank代表理事
・坂本龍一 ミュージシャン (ビデオメッセージによる参加)
・孫 正義 ソフトバンク社長
[司会]藤沢久美 シンクタンク・ソフィアバンク 副代表

という、自然エネルギー専門家が一人も居ない、不思議な集まり、とかでした。風力発電は未来の技術ではなく、現実に日本に存在し、多くの失敗例もある既知の技術なのですから、そういう現場を知る人を招かず夢を語る集まりを打ち上げる、それは一国の現実を預かるトップがやるべきことでは無いでしょう。

多くの国民が賛同できるような目標を立てるということで言えば、「自然エネルギーでまかなえたらいいね。」という漠然としたもので、その具体的な道筋はありません。孫正義氏は後に、「スペインでは自然エネルギーが主電源」と語られていますが、実は、風力が主電源の例は特異日だけの現象で、風力発電がゼロに近い日もあり火力でまかなっている、つまり、主力は火力で自然エネルギーは「焚き減らし」です。また、スペインでも原子力に依存しています。

こういう専横政治は、目的のために手段を選ばなくていい という圧力を生み出します。
有名プログラマーにして経営者の中島聡氏は、こう語っています

そこで菅首相が最終手段として選択したのが、首相であるという地位を利用した「根回しなしのとうとつな記者発表」である。本来は「ちゃんと根回しをして党内の合意を取ってからしか政府の方針として発表しては行けない」というルールがあるのだが、そんなルールに従っていては原発推進派に負けることは目に見えている。浜岡原発への停止要請が金曜日の夜7時という妙な時間に発令されたのも、週明けにまでもちこむと原発推進派の根回しで発表できなくなってしまうと予想されたからだという(同じく古賀茂明氏談)。

記者会見の場で、盤面の外にいる反原発の国民に向かって、「原発の再稼働にはストレステストが必要」、「原発なしでやっていける国を作る」などの国民の意思を反映した明確なメッセージを出し、既成事実化して原発推進派の先手を打とうという作戦である。

特にこと危険な原発に関しては、今までのように民意を無視した状況で色々なことが決まって行くことだけは勘弁して欲しいというのが多くの国民の意思である。ルール違反でもなんでもかまわないので、政治家には民意を反映した政治をして欲しいと切に願う今日このごろである。

悪く言われることの多い、根回しですが合意形成と現実的な手段の確認という今の日本での有力な調整方法です。これを無視することが、民意を反映した政治だと 言ってのける中島氏に、私は、昭和維新に賛同して高橋是清らを暗殺しクーデーターを謀った一部青年将校もこう考えたんだろうなという戦慄を覚えました。

民主主義の形骸化という菅政権を経た今、こういう専横政治再発防止策がなにより重要だと考えます。

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