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iPhoneゲーム,アイテム課金で売上が劇的に改善。ARPUがFacebookの6倍,GREEレベルに

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iPhone上のソーシャルゲームが熱いようだ。

iPhoneにおいて,アイテム課金(アプリ内課金)によるフリーミアムモデルが可能になったのは昨年9月に登場したiPhoneOS3.1からだが,本格的にアイテム課金をしているソーシャルゲームがそれほど多くないため,収益状況が表に出ていなかった。

そんな中,昨日,非常に興味深い記事がVentureBeat(元記事)からアップされた。

Flurrystory

記事内では,米国モバイル市場調査会社Flurryによる調査結果とiPhoneアプリ・デベロッパー数社のコメントが紹介されている。まとめると以下の通りだ。

Flurryによると,アイテム課金をしているiPhoneゲーム(ダウンロードは無料)のユーザーあたり売上は非常に高い。2010年1月では年換算で1ユーザーあたり9ドル/年だったが,2010年6月の調査では14.66ドル/年に上がっている。無料にする前のダウンロード単価は0.99ドルないし1.99ドルであったため,平均で約10倍,アプリ収益性が劇的に改善したことになる。

しかもこれはアイテム課金からのみの収益であり,これ以外にアプリには広告収入が入る。特にiAdからはかなりの高収益が見込めるはずだ。

アップル純正広告 iAd がアプリ開発者の救世主に - 驚異のクリック率11.8%,CPM 13300円 (7/9) 

つまり,フリーミアムモデルに切り替えることで,ダウンロード数が大幅にアップする上に,アイテム課金によるユーザー単価,iAdによる広告単価もそれぞれ数倍アップするということだ。

有料アプリと無料アプリのダウンロード数の差は7.5倍との調査結果(元記事,この中にあるスライドの22ページ)もある。これらを考慮すると,アプリ内課金によって従来の数十倍以上もの収益性向上が実現する可能性が高いのだ。

iPhoneアプリ売上 = ダウンロード数 × (課金売上単価+広告売上単価)

→ 有料ダウンロードモデルをフリーミアムモデルにすることで,
   ・ ダウンロード数が約7.5倍
   ・ 課金売上単価が約10倍(1.49ドル→14.66ドル)
   ・ iAdによる広告売上単価が約15倍(CPMベースで10ドル→147.55ドル)
    ただし広告単価は初日データのみ,今後は低下する可能性が大

 

またFacebookでのソーシャルゲームのユーザーあたり課金売上は平均2.5ドル/年程度なので,iPhoneの方が約6倍もが稼げる計算になる。ひとつは携帯電話上では有料アプリに抵抗感が少ないこと,そしてiPhoneユーザーはFacebookと比較してアーリーアダプター率が多い(アーリーアダプターの方がユーザー単価が高い)ことがあげられるだろう。

ちなみにiPhone上でのゲーム会員を獲得するための広告コストは,一人あたり0.75ドルから2ドル(クリック単価が0.2ドル,コンバージョン率が10%から37.5%のレンジ)程度だ。14.66ドルの課金売上やiAdによる広告売上を考えると非常にリーズナブルなレベルだ。儲からないとされていたiPhoneアプリだが,一気に収益性の高いプラットフォームに変貌したと言えそうだ。

さらに近日,ゲームユーザーのためのコミュニティ,Apple Game Centerが登場し,メンバー同士のコミュニケーションや対戦やスコアランキングなどが可能になる。そうなるとFacebookなみのバイラル効果を見込めるため,会員獲得コストはさらに低下するだろう。

なお,元記事にはZyngaディレクターのJen Herman氏のコメントもあるので紹介しよう。ZyngaはiPhoneで6つのゲームを投入しており,早くも500万人のユーザーを獲得している。またアイテム課金によって収益が劇的に向上したとのこと。当記事内の推測を裏付けている。

一方の雄,Andoridでは,Google Checkoutがアプリ内課金未対応のため,現時点でこのようなフリーミアムモデルを採用することはできない。またAndoird Market自体,Googleの放任主義によりクオリティ低下が問題視(参考記事)されはじめている。Android普及のためには,この点を早期に解決する必要と言えるだろう。

参考まで,mixi,GREE,モバゲーの直近四半期のARPUは次のグラフの通りだ。先に記したように,iPhoneアイテム課金型ゲームは年間14.66ドルなのでARPU(会員あたりの月売上)に換算すると110円となり,一気にGREEに近いレベルまで収益性が改善したことになる。

Mgm15_2
Mgm17

さらに詳細は以下の記事でどうぞ。

【2010 年5月最新版】直近決算発表に基づくmixi,GREE,モバゲーの業績比較 (5/19) 
 
 
 

【ソーシャルゲーム関連】
iPhoneが牽引する米国モバイル・バーチャルグッズ市場,年間150億円規模に急成長 (6/23) 
Facebook ソーシャルゲーム,ユーザー減少に歯止めがかからず。3ヶ月連続で大幅ダウン (6/14) 
日本ソーシャルゲーム業界に黒船到来 - Zyngaとソフトバンクが業務提携を発表か  (6/8) 
Zynga がYahooとの電撃的提携を発表。YahooユーザーにFarmVilleやMafiaWarsを提供 (5/27) 
Zynga 推定売上は540億円!プラットフォームであるFacebook売上規模とほぼ同等か? (5/1) 

 
 

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Comment(3)

コメント

TETSU

iPhoneユーザはお金を使ってくれる人が多いんでしょうね。

そういえばGoogleはファンは多いが、実際お金を払ってくれる人は少ないって説もありますね。
Googleのサービスがほとんど無料で、価格破壊の代名詞みたいになってたりするし、クラウド系は全て無料になっていくとユーザーの方も思ってたりするからなぁ
実際自分もGoogleのサービスは沢山使っているが、お金を払ったことはない(^^;
同じアーリーアダプターでも、タイプは大きく違っていることもあるのかも

iAdも日本ではじまれば面白いことになりそうですね。きっと日本人の方がiAdのような広告への抵抗は少ないと思うし、女性のiPhoneユーザも増えているのでいろいろな広告効果が期待できると思います。

ゆきち

Apple Game Centerの話が出ていますが、既にOpen FeintやPlus+があるので、ネットワークはほぼ完成の域に達していると思います。なので、Game Centerがバイラルな効果を生むなら、既に生まれているはずです。その点がどういう風になるかは、一度確認しないといけないですね。
そういう意味では、アップルがGame Centerをどういう風に組み込むかが鍵を握ります。OSそのものに食い込ませるなら、かなり強い。iBooksみたいに、一度ダウンロードしてからだと、最終的には勝っても、時間はかかりそうです。

あと、この件を左右する要員は、開発のしやすさでしょうか。Open Feintは、無償でアプリに組み込む事が出来ます。自分は開発経験はないですが、数は多いので、おそらくそれほど難しくないのではないかと推察します。その点で、Game Centerがどれほど簡単に込み込めるかが、気になるところです。

TETSUさん
コメントありがとうございま。Androidアプリは数はそろってきましたがクオリティの面でiPhoneに水をあけられており,まずその点の改善が大切だと思います。
ゆきちさん
コメントありがとうございます。Openfeintはすでに2500万人のユーザーを持っており強力なバイラル源となりつつありますね。ただ仮想通貨を実装できないなどApple規制の元での横断コミュニティなので,GameCenter登場後にどのくらいパワーを維持できるかどうか未知数なところがあります。いずれにしてもGameCenterがどのような形で登場するか見守りたいですね。

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