Facebookソーシャルゲーム,ユーザー減少に歯止めがかからず。3ヶ月連続で大幅ダウン
Facebook上のソーシャルゲームが苦戦している。
Inside Social Gameが月次で発表しているFacebookソーシャルアプリ調査記事で,2010年3月からはじまったアクティブユーザー減少が今月も続き,3ヶ月連続となったことがわかった。一本調子で成長してきたSAP(Social Application Provider)にとって,はじめてのスランブ期となっている。
【2010年5月 ソーシャルアプリ月間アクティブユーザー数 - 6月1日記事】
この表は2010年5月のトップ25アプリの月間アクティブユーザーの増減をあらわしたもの。トップ25アプリ中,なんと23アプリが減少していることがわかる。Zyngaはこの中で8ゲームをランクインさせているが,全ゲームが減少しており,延べ2500万人の月間アクティブユーザーをわずか1ヶ月で失ったことになる。
この減少は,Facebookが2010年3月初旬にアプリからのニュースフィードを制限したことに起因している。多くのアプリはそのタイミングでお知らせをメールないしSMSに切り替えたが,すべてのユーザーに普及しているわけではなく,その効果は限定的と言えそうだ。もう2ヶ月ほどデータを遡ってみよう。
【2010年4月 ソーシャルアプリ月間アクティブユーザー数 - 5月3日記事】
【2010年3月 ソーシャルアプリ月間アクティブユーザー数 - 4月1日記事】
つまり,2010年3月には25アプリ中14アプリが,2010年4月には18アプリが,そして2010年5月には25アプリ中23アプリが前月比でアクティブユーザーを失っており,しかもそれらは歯止めがかかるどころか加速しつつあるように見える。
最強ソーシャルゲームFramVilleだけ見ても,2010年2月には8300万人が3ヶ月後には7066万人と,3ヶ月で15%以上を喪失したことになる。
さらに課金システムとしてFacebook Credit(課金手数料30%)が適用されると,手数料が20%程度も増えるため,まさに泣きっ面に蜂なのだ
FarmVilleを例にとって計算してみよう。仮にARPU(会員あたりの月間売上高)を20円と仮定すると,FarmVilleの月次実質収入は次のようになる。
■ 2010年2月実質収入 8300万人×20円×90% = 約14.9億円/月
■ 2010年5月実質収入 7066万人×20円×70% = 約9.9億円/月
つまり3ヶ月間で実質収入が2/3になってしまうという厳しい状況になっているのだ。
Zyngaは最近,活発に業務提携をすすめており,iPhone,iPad上でのFarmVilleもスタートすると発表した。それらの背景には,このような背に腹は変えられない経営状況がある。Faccebook上の主要プレイヤーが,アジア,特に先行している日本に目をつけはじめているのも必然の流れと言えるだろう。
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