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海外ソーシャルメディア事例を徹底的に調査し,マーケティング活用の秘訣を提案するブログ

4月14日に噴火したアイスランド火山灰による航空業界の損失は1600億円に上ったようだ。
被害範囲も広く,欧州を中心に30カ国近くの空港が巻き込まれ,数百万人におよぶ乗客が世界各地で足止めされる結果となった。

航空被害のピークは過ぎたが,隣接する火山の噴火を誘発する恐れもあり,いまだ予断を許さない状況が続いている。

Sky2

運行再開の見通しが立たないまま海外に取り残された旅行者は,一斉に電話に殺到。各社のコールセンターはたちまち悲鳴をあげ,その多くはパンクすることとなった。

緊急災害時において,コールセンターは(ツイッターと比較して)いくつかの構造的な欠陥を持っている。

  • 電話回線に制限があり,臨機応変に回線数をコントロールすることが困難なこと
  • マンツーマン対応となるため,必要オペレーター数が被害者規模に正比例して増大すること
  • やはりマンツーマン型のため,集まった被害者同士が情報交換したり,助け合ったりできない。またその情報を他者が閲覧したり,クチコミしたりすることができないこと
  • ウェブサイトや画像や音声,動画などと連係できず,情報を伝達する能力が乏しいこと

そのため災害時にツイッターが重要な役割を果たすケースは増えている。現時点でツイッターは利用者が限定的なためユニバーサルサービスにはなりえないが,ハイチ地震やチリ地震などの経験から,天災時におけるツイッターの存在感は世界的にも増している。

今回のアイスランド火山噴火においても,ツイッターは縦横無尽の働きをしたことが報道されはじめた。当記事ではその活躍を具体的に追ってみたい。
 
   
■ トラブル関係者を結ぶハッシュタグ "#ashtag" の登場

今回のトラブルでは多くのハッシュタグ(#getmehome, #stranded, #putmeup ...)が登場したが,その主役はJL Pagano氏命名の #ashtag (ash = 灰。hashtagから一文字抜いた機転が支持された原因) だった。

登場した4月15日だけで11,000ツイート,その後10日間で約70,000ツイートがこのタグを利用しており,災害関係者を結ぶ貴重なハブとなったのだ。やや遅れて航空会社が公式に使いはじめた #ashcloud タグも併用されたが,主役は #ashtag だった。ちなみにこの #ashtag はトップ10ユーザーの使用率が5.8%(災害発生から1週間の記録)と少なく,トラブルに遭遇している多くの旅行客や航空関係者が広く使用していたことがわかる。

Ashtag1
直近データは,wthashtag.com で確認できます。
 
 
■ 運行情報,火山灰情報を定期配信したユーロ・コントロール社の活躍

もう一方の主役は,欧州の航空運行状況を統括するユーロ・コントロール社だった。彼らは的確に運行情報や火山灰情報をウェブやツイッターから配信し,多くの足止め観光客の羅針盤となった。

Sky1
この図は彼らが定期配信している火山灰の広がりをあらわす地図だ。これらタイムリーな情報配信により,ユーロ・コントロール社のツイッター・フォロワーは一週間で倍増した。

Euro

 
 
■ 旅行者,航空会社,ユーロコントロールがツイッター上で対話・交流

ツイッター上のハッシュタグに最初に参加したのはKLMとルフトハンザだ。ほどなく他の航空会社も徐々に集い,最新の運行情報を流すようになる。またコールセンターから溢れた乗客からの問い合わせツイートへも個別に対応しはじめた。そこでは単なる運行案内にとどまらず,個別払い戻しや宿泊代提供も含めて柔軟な対話がされており,旅行者のパニックを収めるのに大きな役割を果たすことになった。

例えば最も積極的だったKLMのタイムラインを見ると,旅行者への個別対応で埋め尽くされていることがわかる。

Tw1

 
同様に,前述ユーロ・コントロール社でも情報提供のみならず,個別対応を行なっている。

Tw2

 
さらに,比較的早期に難を逃れた旅行者が,困っている旅行者を助けるといった美しい協力関係も多く見受けられたようだ。

ちなみに, 航空業界ではジェットブルー航空,サウスウェスト航空,バージンアメリカ航空など著名なツイッター事例が多いが,それ以外にも多くの航空会社が顧客コミュニケーションのためにツイッターを活用しはじめている。以下は世界トップ7に著名3社を加えた計10社のツイッター活用状況だ。

Airlines

そもそも航空機は天候によって大きく運行が左右され, トラブルは大きな事故に結びつく。また機内飲酒が問題となることもある。乗客のクレームに常に悩まされ,臨機応変な対応が問われている業界だ。今回のケースは,ツイッター活用の先進企業が共同でリードした緊急対応事例だったと言えよう。

なお航空業界のツイッター活用には炎上の歴史がある。ぜひ次の記事を参考にしてほしい。
ツイッター利用が活発な航空業界における炎上事例と未然防止事例。得られた教訓を総まとめ (3/16) 

また最近開始された広告ツイート,Promoted Tweetをバージンアメリカが実に巧みに利用している。下記の記事もぜひ参考にしていただきたい。
Virgin Americaのマーケティング責任者が語る,広告ツイート"Promoted Tweet"の舞台裏 (4/21) 
 

【追記】
「しろくま日報」小林啓倫さんが,実際にこの火山灰被害にあわせ,マドリッド足止めで一週間も帰国が遅延されたとのこと。大変な実体験をオルタナ・ブログに投稿されていますので,こちらにご紹介させていただきます。小林さん本当にご苦労様でした。
エイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山噴火で、マドリッドに1週間足止めされていた件 (4/27)

 
 
【ソーシャルメディア成功事例】
ビクトリア・シークレットに学ぶ,女子大生へのソーシャルメディア・プロモーション (4/23)      
レディ・ガガに学ぶソーシャルメディア活用最前線 (2/5)      
米国Hondaやサントリー角ハイボールに学ぶ,ソーシャルメディア活用の秘訣 (1/5)      
ペプシ,スーパーボールCM撤退の背景とソーシャルメディア・キャンペーンの全貌 (1/5)      
 
 
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最新の筆者著書です。 『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』

Toru Saito

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