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Googleは4月10日に中国撤退か。情報鎖国化に突き進む中国のリスク

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Googleが4月10日に撤退することが来週月曜日に発表されるとの記事が複数のブログメディアを騒がせている。

Google China could be ceasing operations in April, says report (engadget, 3/18)
Google May Leave China on April 10 (Mashable, 3/19)
Google Leaving China April 10th? (the Next Web, 3/19)

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(出所:Bloomberg News)

ニュースソースは,中国のニュースサイトである China Business News だ。それによるとグーグル本社の確認はとれていないが,グーグル関係筋の情報として4月10日に撤退するという情報をつかんだとのこと。また社員からのリークとして,来週月曜日(22日)に当件が発表されるのではとの情報もあわせて報じている。

中国の経済ファイナンス情報を扱っているサーチナ(SearchChina)記事によると,中国でのオンライン調査で,約2万人の回答者中87%が撤退はやむを得ないと考えているとのこと。基本トーンとしては,中国の法律を守らないのでは仕方ないし,いなくなってもどうということはない」との意見が大方を占めているとしている。

その根拠としてあげているのが,IT商業新聞網から発表された中国大手サイトの検索トラフィックにおける検索エンジンの貢献度(流入率?)だ。これによると,百度(baidu.com)が80%前後であるのに対してGoogleは10%程度とのこと。ポータルサイトに対する貢献度でも同様のため,中国インターネットにとって大きな損失にはならないと言う見解だ。

短期的に見れば確かにそうだろう。検索に関しては百度で多くのことを代用できるに違いない。

しかしGoogleは検索エンジンだけではない。例えばGmailやGoogleReader,GoogleAnalyticsをはじめとする無料ツール群は,個人や企業の生産性向上に大きく貢献しており,かつその利便性は相乗的に加速している。

そしてすでに中国は,これからGoogleを凌ぐ勢いになると予想されているメガ・ソーシャメディアの代表格である Facebook,YouTube,Twitter をすべて遮断している。

この様相をグラフ化すると次のようになる。

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データ情報ソースはAlexa,最新世界トップサイト(訪問者数に基づく)によるものだ。世界のトップ10サイト(地域に根づいたサイト,8位Baidu,9位QQ,11位YahooJapanを除く)の訪問者比率(全世界のインターネットユーザー(ただしPCペースのみ。携帯は含まれない)における訪問者比率)をあらわしている。つまりgoogleが43%ということは,世界ユーザーの43%がgoogle.comを訪問しているということだ。

そしてグレーサイトが中国が遮断ないし遮断を予定しているサイトだ。これによるとトップ10サイトの合計比率(延べ訪問者比率)189%に対して,グレーゾーンは103%となっており,メガサイトパワーの半分以上を遮断することになる。

遮断サイトには2013年には中国人口を抜くかも知れないといわれているFacebook,10億ユーザーを目指しFacebook以上に急成長しているTwitterも含まれており,遮断サイトの訪問者比率は近い将来,さらに急加速していくことは確実な状況だろう。

また別の観点からGoogleパワーを見てみよう。

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やはりデータ元はAlexaで,世界トップ100サイトの中でGoogleがどれくらい含まれているかを調査したものだ。さきほどの表で43%となっていたのは米国ベースのGoogle.com。このメインサイトが圧倒的に巨大なために目立たないが,実はベスト100サイトに17ものgoogle各国版サイトがランクインしており,これらを合計すると79%と圧倒的なパワーを持っていることがわかる。(下位のGoogleロシアやGoogleカナダで,日本のlivedoorやmixiとほぼ同等の訪問者)

参考まで1年以上前のデータだが,comScore社によると2008年末で世界のPCインーネットユーザーは10億人を突破し,トップは中国の1.8億人であるとの調査結果を発表している。

これらの情報を加味すると,Googleは全世界のインターネットユーザーのかなり多くの部分にリーチしており,ユーザー数でいくと10億人に迫るレベルにあるのではないだろうか。

またFacebookアクティブユーザーは現時点で4億人だが,このまま成長を続けると2010年内には6億人超となるだろう。YouTubeも3億人規模と予想される。さらにTwitterはAPIアクセスを含めると訪問者は2-3倍となり,現在の急成長が続くとやはり年末には2-3億人規模に達する可能性が高い。

それに対して中国の現インターネットユーザーは現時点で2億人規模だ。急成長が予想されるとは言え,中国が遮断しているGoogle, Facebook,YouTube,Twitterのメガサイトをあわせた規模には遥かに及ばず,これからその差はさらに拡大していくと予想される。

ソーシャルメディア上では生活者パワーがさらに増して行く。社会貢献性の高い企業にはクラウドソーシングなどで生活者が企業活動を支援する一方で,反社会的な企業や隠蔽体質の企業は生活者に引導をわたされ存在自体が危うくなるだろう。中長期的に見れば,これらメガサイトにより世界経済は繋がれ,社会生産性の向上にも貢献するだろう。

小難しい話をぬきにしても,私自身,Googleツールには多面的にお世話になっており,日本からのGoogle撤退など考えたくない悪夢のような話だ。政治や経済は私の専門外なのでこれ以上踏み込まないが,この遮断政策による中国の情報的な孤立は,長い目で見ると中国の生産性などに予想外の影響を及ぼしていくのではないかとやや懸念している。


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