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Facebook企業活用における貴重な効果測定事例 - ファン醸成が店舗売上に直結した!

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ハーバードビジネスレビューに,「効果測定数値」を伴った貴重なFacebook活用記事があったのでご紹介したい。

One Café Chain's Facebook Experiment - Harvard Business Review (2010年3月号)

 
事例の主人公,Dessert Gallery (以下,DGと略)は米国ヒューストンにある人気ケーキショップで,2店舗を運営している。

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以前からホームページやメーリングリストを活用していたDGだが,昨年からはFacebookとTwitterを活用し,ソーシャルメディア上で顧客との直接コミュニケーションをはじめている。

アクティビティは特筆するほど本格的なものではない。例えばTwitterアカウントは昨年4月に開設されているが,現在フォロワーは680人で,ツイートは1日1回程度,顧客交流は図っておらず店舗からのニュース配信のみのようだ。

ただしFacebookの方は積極的に活用している。ファンページを作って顧客とのコミュニケーションを図っている他,それほど頻度は高くないが写真やブログも投稿している。

Dg1_2

これがFacebook上のDGファンページだ。ファンは現在534人。中央に位置しているのが掲示板で,ここがファンとのコミュニケーションの場となる。Twitterをクローズにしたイメージだ。DG管理者からの書込みは週に数回程度だが,今日はたまたまDGがテレビでとりあげられたようで,かなり多くのファンが「おいしかった!」などと感想を書き込んでいた。またその声には丁寧に一件ずつDGから感謝のコメントが返されている。

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これは写真アルバムの活用例で,とてもかわいいバレンタイン向けデザートが飾られている。またその下にはファンの写真(小さな女の子が手でケーキを食べている写真!)も投稿されていて微笑ましい。

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こちらは日記やブログに相当するノートだ。お店の特別なイベントの案内に使っているようで,投稿頻度は月に一回程度。一番最近はバレンタインデーのスペシャルサービスがアピールされている。またそれぞれのノートに限らず,それぞれの投稿にはファンからのコメントが寄せられている。

 
さてポイントはここからだ。

まずFacebook活用前にDGは顧客サーベイを行なった。方法は電子メールで,あて先はメーリングリストに登録されている既存顧客13270人だ。店舗評価や購買行動などについての質問に対して689件の返答があった。

その後,Facebookファンページを開設し,その13270人に対してやはりメーリングリストでファン登録をお願いし,Facebook上で前述のように顧客との対話交流を積極的に行なった。

そしてその開設から3ヵ月後に,Facebook効果を把握すべく,再度同様の顧客サーベイを実施したのだ。その時のレスポンスは1067件,前回と比較して1.5倍以上だ。その1067件を (A)Facebookでファン登録している顧客 (B)Facebookユーザーだがファン登録をしていない顧客 (C)Facebookを利用していない顧客 の3パターンにわけ,顧客サーベイの結果をスコア化した。その結果がこれだ。

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  1. Facebookでファン登録している顧客 ... 75ポイント
  2. Facebookユーザーだがファン登録をしていない顧客 ... 66ポイント
  3. Facebookを利用していない顧客 ... 53ポイント

顧客サーベイでわかったことは,2回とも返信があり,かつFacebookファンになった283人(全登録件数の2.1%)の顧客は,極めてロイヤリティの高い重要なカスタマーになっているということだ。

彼等はDGに他の顧客より20%多く足を運び,使った総額も当然最も多かった。さらにFacebook上で友人にDGに関するポジティブなクチコミを多く発信しており,顧客サーベイの総合スコア差は歴然としていた。またDGに対する愛情度スコアも3.4点(4点満点)と,他の顧客の平均3.0点を大きく上回っていることがわかった。

この調査結果は,ソーシャルメディアの効果が数値測定された数少ない事例であり,次のような興味深い効用を示唆している。

  1. ソーシャルメディアの効果は,単純なクチコミ誘発,それによるバイラル化だけではない
  2. ソーシャルメディア上で醸成されたファンはロイヤルカストマーとなり,購買行動に直接結びつく
  3. ソーシャルメディアは,象徴的ではないブランド,小規模なコミュニティでも大きな効果をもたらす

ただし,Facebookがロイヤルカスタマーを醸成したのか,ロイヤルカスタマーがFacebook上でファンになったのか,この3ヶ月での変化はどうだったのか。おそらくポジティブな相関効果だと考えられるが,まだ仮説の域を出ていない点がある。今回調査を担当したコンサルタントは,数ヵ月後に再度サーベイを行い,このネットとリアルの興味深い相関関係についてさらに深堀り調査する予定とのことだ。

ソーシャルメディア効果は対人関係で考えるとわかりやすい。批判的に考えていた人物でも,その人と直接会話を交わすと相手の心情が深く理解できる。そして「実際に会ったら結構いいヤツだったよ」となる。これは誰しも日常的に経験していることだろう。

そして企業がソーシャルメディアを恐れる理由も同一線上にある。それまでコミュニケーションを怠っていた内弁慶な人物ほど直接対話は恐ろしく感じる,いわゆる無知の恐怖だ。しかし実際に顧客は企業と会話したがっているし,交流することで深い愛情が芽生えはじめることは珍しくないのだ。

 
【後記】
当事例においてはFacebookを利用していますが,重要なのはツールではなく顧客との対話です。したがって日本でもツイッターやミクシィを活用すれば同様の効果が期待できるはずです。読者の皆様のうち,この事例に触発されて実際にトライされた方がいらっしゃれば,ぜひその結果をお教えいただければ幸いです。このブログにて,貴重な国内での効果測定事例としてご紹介させていただきたく存じます。

筆者コンタクト先: 斉藤 徹
ツイッター @toru_saito
メール saito1212@gmail.com

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