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プロダクトマネジメントとイノベーション

プロダクトマーケティングという職種を思う

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今から16年前の今日、私は米国の駐在員SEとしてサンフランシスコ空港に降り立ちました。

それ以前から何度も米国に行っていたので特に感慨というのもありませんでしたが、この日はハロウィーンで、空港職員が魔女などに変装していて、それに驚いた記憶があります。

そしてさらに、仕事面で驚いたことがあります。その後数年間にわたってとある大手SIに駐在したのですが、そこで米国IT企業における「マーケティング」という職種の人間をまじかに見たことです。この手の職種は日本のIT企業に存在しないことが多く、実に興味深く研究しました。

彼らの業務や、会社における役割、権威はまったく新鮮で、後に、もっとも印象的な日米の違いという趣旨で役員に報告したぐらいです。以後、米国在任中に多くのIT企業と関わりましたが、共通して言えるのは、この職種がIT企業の成否を担う重要なポジションであるということでした。

もちろん、広報という広義のマーケティング業務は日本にもあるのですが、「プロダクトマーケティング」と呼ばれる、製品の戦略、企画、完成化、提携、競合対策といったIT企業の生命線を専門的に担う職種は日本には存在しませんでした。当時、私は役員に対し、米国IT企業では、最も優秀な人材はマーケティング部門に配属されると報告しました。

IT企業というと「ものづくり」を思い浮かべますが、米国IT企業はまさに米国流で、マーケティングが事業の主導権を持ち、その戦略に応じて資金が調達され、ものづくりが行われるという順序です。彼らに委譲された権威も半端ではありませんでした。

その後、ネットバブルを経て、米国のプロダクトマーケティング部門にもMBA出身者やサラリーマンが多くなり、かつてのような起業家スピリットを持つ人材が少なくなりつつあります。

さて、昨日の土曜日、SugarCRM社のプロダクトマーケティングの責任者が来日し、雨の中、品川でずっと戦略立案をしました。彼はまだ起業家の匂いを残しています。来年度に向けて、数々のビッグニュースを二人で用意しましたので、お楽しみにどうぞ。

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