業界トップが企業システムの変革に挑戦する「次世代ITリーダー」にエールを送る

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頑張れ、ニッポン

 はじめまして、デルの浜田宏です。私はITの世界に入って、まだ10年強です。それまでの日本のITを知らないがゆえに、非効率な流通や、経営へのITの活用度、ホワイトカラーの生産性に大きな疑問を抱いたのがきっかけです。そんな立場から、1週間という短いあいだですが、日本企業の生産性向上を担うITリーダーらにメッセージを送りたいと思います。

 私は、大学卒業後、日本の企業などでしばらく働いたあと、米国のビジネススクールに学びました。卒業後はコンサルタントになるか、実業界で経営者を目指そうと考えていましたが、最終的にはサンフランシスコの小さなコンサルティング会社で働くことを決めました。そこでは、米国企業が日本市場に、あるいは逆に日本企業が米国市場に事業を拡大する際の組織戦略や人事システム、トレーニング体制などをグローバルカンパニーとして、どう作っていくかというコンサルティングを行っていました。

 そんなとき、その会社がテキサス州オースチンのデル本社から「日本に本格参入するので手伝ってくれないか」という依頼を受け、私がそのプロジェクトリーダーになりました。サンフランシスコから東京に戻り、デルで組織戦略の策定や人事システム作りを進めていく中で、マイケル・デルのビジネスモデルや、デルが起こそうとしている革命に次第に惹かれていきました。

 ITの外の世界から入ってきましたから、考え方は非常に単純でした。マイケル・デルが言うように、長く複雑な流通経路を通って販売店に届いたら、製品は顧客にとって高いものになってしまいます。また、製品を一番理解し、愛しているのはそれを作った人たちです。だからメーカーが直接売って、直接サポートする。それがお客様の満足度につながる。まさにデルのダイレクトモデルの真髄です。このことを目の当たりにしました。

 一方、これからのビジネスにはIT活用は不可欠、という強い思いもありました。米国ではパソコンをカンガン使い倒しているのに、当時の日本のオフィスにはまだパソコンが十分普及していませんでした。帰国したとき、日本のホワイトカラーの生産性の低さにも大きな疑問を抱いていたのです。

 私の基本姿勢は、「頑張れ、ニッポン」です。当時はバブル経済崩壊の後遺症から立ち直れていない1993年、94年でしたが、どうすれば、生産性を上げ、再び日本の企業の競争力を高めていけるか? 重要な回答の1つはIT、まずはパソコンの普及と活用だと考えたのです。

 デルのダイレクトモデルであれば、日本でもパソコンの価格が手ごろになって普及するし、普及すれば生産性も向上する。「頑張れ、ニッポン」が根っこにある私は、これは面白い、それに大きな社会貢献にもなると考えたのです。これが、その後デルに入社を決めた一番の理由です。

 日本の企業は長らく「現場力」に支えられてきました。日本の経済は、本社の人たちのホワイトカラーの生産性が高かったからではなく、工場や研究開発という現場の地道な改善によって伸びてきたのです。日本経済がさらに発展していくには、今度は本社の生産性を高めていかなければなりません。それはセールスであり、マーケティングであり、人事であり、ファイナンスなんです。ITはそれを支援できるし、経営者の方々もそれを理解しているため、ERPをはじめとするエンタープライズアプリケーションの導入に取り組んできたのです。

 私は、デルで10年以上働きましたが、モチベーションは今も変わりません。「頑張れ、ニッポン」「非効率な流通の改善」「ITによる経営効率の改善」「日本のホワイトカラーの生産性向上」です。

 明日からは、次世代のITリーダーらがどうあってほしいか、について書いていきたいと思っています。

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