グローバルIT時代にクリエイターはいかに対応するべきか?を考えます

写真撮影の仕事の世界最適地とは、いったいどこか?【読了目安: 5分】

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当エントリーをご覧いただきありがとうございます。
フォトグラファーの御園生大地です。

グローバル化された時代の中で、国境を超えた「人、モノ、カネ」の移動が容易になり、先進国と発展途上国の垣根が限りなくゼロに近づき、世界中で大競争時代に入る…
そんな中、全ての産業は世界中で最適な土地で行われるようになる。
機械の組み立ては、中国やタイ。英語でのコールセンター業務はインドやフィリピン…というように、産業は問題ない品質で、より安く行える場所に移っていくという訳です。
ここまでの話は、このブログで繰り返し書いている部分なのですが、では、写真撮影業務は、どこが世界最適地なのだろうか?

今回は、そんなことを考察してみようと思います。
CGやレタッチはデジタル回線で送信できるので、話はそれほど複雑ではありません。
問題ない品質で、より安く行える「世界最適地」へ移っていく大きな流れが避けられないと思うのです。
その点写真には、「被写体の前に行かなければ撮影できない」という物理的制約が絡むので、話はそう単純ではありません。

この文章は、あくまでグローバル化が進行していく中で、撮影の仕事は世界のどこにいってしまう可能性があるのか?
という考察です。私の個人的考察としてお読み頂けますと幸いです。

人物撮影、建築撮影
前提として、当然のことながら必ずその人物、建築が存在する場所が唯一の世界最適地です。
人物も建築も、唯一無二、複製不可能であるからです。
では、日本の実業家を、イギリスの雑誌が撮影するとしたら誰が撮影を行うか?
(雑誌側が実業家側に連絡して、「手持ちの写真ください」なんてのも今は多いと思われますが、それは今回の趣旨と離れてしまうのでひとまず置いておいて…。)
まずは撮影は行うこととなったとしましょう。
イギリスのカメラマンが雇われて日本に飛ぶか、日本でカメラマンが雇われるか、が一般的だと思います。
日本の実業家をイギリスに呼んじゃう、または実業家がイギリスに来た時に撮影する、というパターンもあるでしょう。
ちなみに日本の雑誌が、日本の人物を撮影する案件は、日本人の仕事であり続ける確率が高いでしょう。

フード撮影
食品は、食品そのものも、写真のテイストも、その国の文化的影響を非常に受けやすい印象があります。
被写体はその料理が作れる場所ならばどこでも存在できますが、上記の理由によりその写真が使われる地域が世界最適地、という率が高いと、私個人は考えます。
だからでしょうか。実際の実感として、フードの撮影は、他の分野の撮影に比べ仕事の総量の減少がゆるやかな感じがしています。
いかに世界がフラット化しているとはいえ、日本の食品を日本人向けに撮影する仕事は、しばらくは日本人の仕事で在り続ける確率が高い気がします。

工業製品の撮影
工場のある場所で撮影しちゃえばいいじゃん、となったら中国やタイなどが世界最適地。
モックで撮らなきゃ間に合わないじゃん、となったらメーカーのデザインチームの近くが世界最適地となるでしょうか。
CGでビジュアルを作っちゃえ、となったら、世界中どこでも可能です。いずれは香港、シンガポールなどでしょうか。
こういったことが混沌と起こっていっているのが工業製品の撮影、といった印象があります。

広告キャンペーンの撮影
大きいキャンペーンであればあるほど、広告キャンペーンを主導する、本社機能等のある場所の近くが世界最適地。
(アジア企業の巨大広告キャンペーン撮影は、本社のあるシンガポールのフォトグラファーばかりが撮るようになったりして…)
フォトグラファーのテイスト重視で、そのフォトグラファーのいる場所が世界最適地というパターンもあるでしょう。
この分野は案件ごとに様々で、一概に語るのはリスクがありますが、あえて単純化して言うと、このうような感じでしょうか。


こうして見てくると、なんとも混沌としています。

「グローバルIT時代」には、一部のエリートフォトグラファー以外の一般フォトグラファーも、飛行機で世界を飛び回って活躍する、といったイメージを、わりと思い描いていた面は正直ありました。

そういう流れが以前より増えていくことは疑いのない流れでしょう。しかし同時に、「なるべく飛行機なんて使わないで、最適地の近くにいる人に撮ってもらったほうがいいじゃん」といった流れも増えていくと思いますし、むしろそっちのほうが現実的には多くなるような気もします。
(本当にその人じゃないと撮れない、個人の作風に強く立脚した広告を作る場合を除いて)

「グローバルIT時代のフォトグラファー」として、
「飛行機でどこでも飛んでいって撮影するノウハウの蓄積」と、
「日本が世界最適地である撮影を、時に他の国のディレクターからの遠隔指示を受けながらでも撮ることができる体勢の構築」
両方身に付ける必要があるな、と感じている今日この頃です。


月1回。1日に更新予定。 「グローバルIT時代のフォトグラファー

(次回は、9月1日のam6:00にアップ予定です。)

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