グローバルIT時代にクリエイターはいかに対応するべきか?を考えます

コマーシャル・フォトで、Photoshop解説記事を書きました。〈後編〉 〜文章の執筆仕事の流れについて〜 【読了目安: 5分】

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当エントリーをご覧いただきありがとうございます。フォトグラファーの御園生大地です。


前回のエントリー
「コマーシャル・フォトで、Photoshop解説記事を書きました。〈前編〉 〜文章の執筆とグローバルキャリア戦略について〜」
では、日本語で執筆仕事をすることが、グローバル競争時代にどのような意味を持つのかについて書きました。

今回は、このような観点から、執筆仕事によって自分が得た経験の共有を図ります。
具体的には、
「オファーを受けて自分の専門分野の解説記事を書くということ」が、どんな感じだったのか。
そのプロセスを、差し支えのない範囲で開示しようと思います。

題して、
「コマーシャル・フォトで、Photoshop解説記事を書きました。〈後編〉 〜文章の執筆仕事の流れについて〜」

(私が実際解説文をを書いた「コマーシャル・フォト 7月号」は、こちらの本です。)


私が執筆しているのは主に3つの新機能について。
「コンテンツに応じたシリーズ」「ぼかしギャラリー」「3D機能」です。

事前に打ち合わせが一回ありました。(4月初旬)
今回が初顔合わせの担当編集さまとご挨拶と、記事の方向性の打ち合わせを兼ねてのものです。
そこでは、簡単なページ構成のラフをいただき、私が受け持つ3つの機能ごとのページの割り振りと、各ページの文字数がざっくり与えられました。
具体的には以下の通りです。(のちに変更されます。この時点では、です。)

「コンテンツに応じたシリーズ」 3ページ 2250文字
「ぼかしギャラリー」 2ページ半 1000文字
「3D機能」 2ページ 2000文字

レイアウト、デザインはこの時点ではまだありません。
私が書いた記事の画像や文章の分量次第で決まってくる部分だからです。
基本的には、フォトショップの新機能を深く理解して解説するのは私の役目で、編集サイドの方々も、この時点で新機能について当然深い理解がある訳ではありません。(もちろん、どこが新しくなったかのさわりの情報はきちんと把握しています。)

打ち合わせの前に、事前にCS6はさわって、ある程度の操作感覚はつかんでいたので、その日は私の側からも「こういう方向性で書こうと思っていますがどうお考えですか?」といった意思確認を行いました。
打ち合わせの中で私が取り組んだのは、「自分の中で考えているアイディアで、コマーシャル•フォトさん的に大ハズレなものをカットしていく作業」です。
会話の最中は、顔色や声のトーンに気を配り、「このアイディアはありそうだな。これはなさそうだな」といったものを自分の中で仕分けしていきました。

難しかったのが3D機能。
この機能を日常的に使いこなしている人は、まだそれほど多くないと考えられるからです。
3D機能の中の新しくなった部分を紹介するだけの記事では、旧バージョンの3D機能に馴染みのない大半の読者の方をおいてきぼりにするのではないか、という懸念がありました。
かといって、全てを網羅して解説するには今回は2ページなので分量が足りない…
ここに関しては、私の側から、
「ロールプレイングゲームの説明書や、操作が複雑な家電製品の説明書は、最初の方のページで『まずは、やってみよう』というページがありますよね。
そういった体裁で初めての方に入りやすく、さりげなく新機能に触れる方向の記事はどうですか?」
と、提案し、基本OKをいただきました。

ここまでで打ち合わせは終了。
ひとまず、1週間くらい後には、叩き台レベルの原稿を上げることを約束して、その日の打ち合わせを終えました。
(先行してたたき台レベルの原稿で、レイアウト作業にとりかかり始めるためです。)
しかし、この時点ではまだ、どこから手を付けたらよいものやら、全然見えてこない感じではありました。
慣れない仕事に流れを作り出すまでは、産みの苦しみの期間です。

打ち合わせから帰ってからしばらくは、ひたすら新しいPhotoshop CS6の当該機能を使い倒すことに時間を使いました。
なにしろ、このタイミングでは人の書いた解説記事は日本にはほとんど存在せず、アメリカ本家Adobe社の英語の動画や解説記事を頼りにトライ&エラーを繰り返し、それぞれのツールの得意なこと、苦手なことを探っていきました。
日数が経つごとに、少しずつですがブログなどで操作した感想記事が日本語で出始めてきました。
見つけた記事は全て目を通し、自分の中でその機能に対する理解を深めていきました。
何日も考えて初めて「ああ、ここのチェックボックスはこういうことか」と理解できるようなことも多々ありました。

そして、自分の中に新機能に対する情報量が蓄積されてくると、次第に記事の方向性に対するアイディアが出てくるようになってきました。
僕は、ひとまず文章から書くことに決めました。文章には明確な文字数が決められていたからです。
枠組みが何も決まっていない段階では、制限のある部分を頼りに土台を作り上げていけば、形をつくりやすいと考えたからです。

文字制限の枠内に収まる解説文がざっくりできあがった後で、実際にその文章の通りに操作をしてみて、誤りをチェックするとともに、操作画面のキャプチャ画像を収集していきました。正直、レイアウト後にどれくらいの画像が入るかカンが全く働かなかったので、とにかく細かく、全行程のキャプチャを取り倒すくらいの勢いで画像を集めていきました。
(今考えると、渡したキャプチャ画像が多すぎて、少々編集さまサイドに負担をかけてしまったかもしれません(笑))

手持ちの写真の中で、ふさわしい写真がなかったところは、この時点では仮のアタリ画像を用意して、ひとまず最初のたたき台原稿をお送りしました。
(4月25日頃)


20日ほど経ってからでしょうか。
まだデザインの体裁の整えられる前の、レイアウト予定図(pdf形式)が送られてきました。(5月15日頃)
私の書いた文章も、文字数やレイアウトの都合でところどころ表現が変わっている部分もあります。
写真も、私が送った大量のキャプチャ画像(笑)の中から、ポイントを絞って選ばれたものが、ページ構成の体裁の中に配置されています。
ここからは、このpdfをベースとして、意味が伝わりにくそうな部分、より良くできそうな部分、単に私の文章っぽくない言い回しの部分など、細かく修正依頼を出して行きました。
私はAdobe Acrobat Proの注釈ツールを使って、直接pdfに修正依頼を加えていきますが、人によってはpdfをプリントして、手描きで修正を加えていく方もいると思います。
5月20日頃修正希望を送信して、次のpdfを待つことにしました。

5月28日頃、いよいよデザインされたpdfが送られてきました。
今回も同じように、pdfに注釈ツールで修正希望を書き込んでいきます。
特に3D機能のコーナーで、「自分もやってみよう」と考えた人がちゃんと再現できるように、細かい表現に気を配って修正希望を出しました。
5月30日には、修正希望をお送りしました。
入稿が近づき、やりとりのスパンはだんだん短くなっていきました。

6月1日pdf到着 → 6月3日、ここさえ直ればOKの条件をつけた修正希望箇所送信

6月4日最終pdf到着 → 同日全てOKを出して責了。

起こったこと全てを書くと、複雑でわかりにくくなってしまうので省いた部分もありますが、
大きな流れとしてはこんな感じでした。

何から手を付けて良いのか全くわからなかったところから、記事を形にするまでのプロセスは、苦しくもあり、楽しくもありました。
このエントリーをお読みいただいた方に、少しでも追体験していただけたら幸いです!

【2012/8/1 追記: この時の執筆文が「ADOBE PHOTOSHOP CS6 ハンドブック PDF版」として無償公開されました!】

月1回。1日に更新予定。 「グローバルIT時代のフォトグラファー

(次回は、8月1日のam6:00にアップ予定です。)

* 去年の年末から半年間、月2回の更新を続けたきたこのブログですが、今回のエントリーを最後に月1回更新にすることにしました。
本業の合間に書くことで鍛えられた部分があり、充実した半年間ではあったのですが、最近本業の合間の時間が減少気味なのが悩みでした。そこで無理して更新頻度をキープするより、回数は減ってもクオリティをキープしたいと考えたからです。
内容的には、キープではなく、いっそう楽しんで頂ける内容をお届けしたいと考えております。

今後とも、何卒よろしくお願い致します!

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