「4スクリーン戦略」と、デジタルコンテンツのゆくえ考察 【読了目安:2分】
少々前の記事になりますが、ソニー「4スクリーン戦略」の一貫と思しき「Chan-Toru」というアプリケーションが便利にできているそうです。
iPhone、iPad、パソコンからの遠隔で、テレビのチャンネル操作、番組予約、レコーダーの操作までできるとのことです。
更には、外出先からHDDの残量を確認して、足りなそうだから録画済みの番組を削除する、なんてこともできるというのです。
ソニーに関しては、週刊ダイヤモンド「さよなら伝説のソニー」特集が出て、賛否あると思いますが…
私は基本的には「4スクリーン戦略」そのものは非常に正しい方向性だと思っています。
では、話を続けましょう。
TechWave編集長の湯川氏によると、
① 3つのスクリーン(PC、タブレット、スマートフォン)がテレビという1つのスクリーンをサポートする
② 4つのスクリーン間でコンテンツの共有をする
というのが今後のテレビの進化の方向ではないかと、記事を締めくくっています。
個人的には、これは非常に説得力のある未来予想だと感じました。
よって、仮にこれらが全て実現した場合、競争力のあるコンテンツクリエイターとはどのようになっていくのか考察してみたいと思います。
特に、コンテンツクリエイターにとって関係が深いのは②です。
4スクリーンのデバイスについて考えてみましょう。
一番大きいテレビと、一番小さいスマートフォンでは、どんな違いがあるでしょうか。
まず、テレビです。現状では、大きな画面で楽しめるメリットがあるものの、画面の中の任意の位置にあるリンクをクリックする、といった能動的な操作には、あまり向いていないと言えると思います。
(①の「3つのスクリーン(PC、タブレット、スマートフォン)がテレビという1つのスクリーンをサポートする」 という傾向が進んで、スマートフォンやタブレットのリモコンアプリが、その辺を克服する役目を担うのが望ましいでしょう。しかし、キャズムを超えるようなUIを持ったアプリが今後登場してくるかどうかは未知数だと思います。)
そしてスマートフォンはその反対。画面は小さいものの、能動的な操作には最も適しています。(ちょっと乱暴ですが、ひとまずそう言い切っておきます。)
後は利用シーンの違いです。「電車の中でタブレットは使う気にならないけど、カフェの中ではスマートフォンの小さい画面はストレスに感じる」みたいな「利用シーンによる棲み分け」は、今後更に進んでいき、最後まで残ると思われます。(ただ、このへんは個人差もあるでしょう)
こう考えて見ると、やっぱり現状では、どんなにコンテンツ共有ができても、違うデバイスとしての性格が強そうです。
実は現在の私は、「4スクリーンのどこで見ても魅力的なコンテンツ」を目指すと、どっちつかずの散漫なものになるような気がしています。
コンテンツの側は、あくまでコンテンツとしての魅力を最大限に出す方向で作っておいて、ユーザー側に「これはテレビで見よう」とか、「これは通勤電車でスマートフォンで見よう」とか、自由に選んでもらう、というのが正しい姿かもしれません。
そう考えると、4スクリーン向けに流れる可能性のあるコンテンツを製作する場合、「画面の大きさと利用シーンを念頭において、ユーザーに選択される可能性の一番高いシーンで魅力が最大になるようなコンテンツを狙って作れると強い」ということになるかもしれません。
(「4スクリーン向けに流れる可能性のあるコンテンツ」っていったら、将来的にはTVもウェブサイトも電子書籍も、なわけで、デジタルコンテンツならほぼすべてコレに当てはまる、と言えるのでしょう。)
ひとまずこれを、本日の仮の答えとして、今後も考えたいと思います。
この問について、もっといろいろ見えてくるまでには、まだまだ時間の経過を待つ必要があるかもしれません。
4スクリーン向けビジュアルコンテンツの今後について、もしご意見のある方がいらっしゃいましたら、コメント欄でも直接でも、お気軽にご連絡をお待ちしております!
(直接の方は、作品サイトの「Contact」欄か、ツイッターアカウントで、お待ちしております。)
月2回。1日と15日に更新予定。 「グローバルIT時代のフォトグラファー」
(次回は、イレギュラー記事として「page 2012」に登壇した際のレポートを書く予定です。)