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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

正々堂々とした議論を!

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どうも米国の、更に言えばトランプ氏の様々な言動に対して、我が国の総理の発言や対応がぎこちない。もちろんかなりの無理難題に感じられる発言が多く、経済的にも安全保障面でも米国依存度が高いのだから、相手の顔色を見ながらというのは致し方ない部分もあろうとは思うが、最近我が国首相は結構世界の首脳の中でリードする役割を果たそうとしてきたように見えたので、失望感は否めない。所詮、米国追随型だったのか?

自動車産業への主張や、為替に関する発言など、どう考えても無知蒙昧としか言えないトランプ氏だが、ひょっとすると本当に何も理解できないのか、あるいはそうは言っても周りにはそれなりに経済などを理解している人がいて、それを伝えているとすれば、ある意味で彼のこれまでの事業でのやりかた同様、ブラフを次々と打っているとも見れなくはない。

だとすれば、もちろん喧嘩する必要はないが、言うべきことは主張し、変に卑屈になって甘く見られないことが、国際社会における交渉でも重要だと感じる。米国の製造業が地盤沈下したのは、海外の企業が不公正なことをしたわけでも、輸出国の政府が為替誘導をしたわけでもない。唯一の理由は、米国の自動車産業が国際競争力を失っただけのことであり、それは製造拠点として考えた際に、一人当たりの国民所得が高い国ではどこでも起こることだ。加えて、米国特有の品質の低さが大きな要因であり、これは国民性や社会の在り方にも由来しているので、簡単には変えることは出来ない。我が国でも同じ問題が起こりつつあるが、世界の中で価格競争ではない分野で凌駕できるような商品を作り出すしかないのではないか?それが例えばテスラの電気自動車なのではないか?

ビザ発給に関しては、国連も批判しているが、我が国は及び腰だ。もちろん難民受け入れをしていないという弱みがあるのは事実だが、国力だけでなく、その国家の成立の理念も含めて、世界をリードしてきた立場を米国が引き続き続けるのであれば、その国としての理念に反しているではないか、或いは国際的な人権に関する基本理念に反しているではないか、という主張は出来るはずだ

そして、仮に世界をリードする立場を放棄するということであれば、逆に国力に依存して各国に譲歩を迫る政策を打つ正当性はなくなるので、より平等原則に基づいた議論を吹きかけることが出来るはずで、その場合はもちろん次期政権を見越して決裂する必要はないが、思い切った政策(例えば米国において必要とされる日本の技術や部品などの提供を制限するなど)も考えられるのではないか?いずれにしても、毅然とした対応を期待したい。

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